教育福島0172号(1993年(H05)07月)-036page

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教育センターから

特集 学校教育の推進

 

事例を通した教育相談の進め方に関する研究

開発的な指導援助の在り方

−第三年次の研究実践から−

教育相談部

 

一 はじめに

これまでの学校における教育相談は、問題を持つ児童生徒への治療的な援助に重きを置く傾向があり、引き出し育てるという積極的な援助については、やや不十分であったように思われます。

個性を生かし育てる教育が重視されている今、治療的・予防的援助から、児童生徒の可能性を引き出し育てるための開発的な指導援助にスポットを当て、実践的に研究を進めてきました。その三年間にわたって実践し深めた研究について紹介します。

二 主題についての考え方

まず、「開発的な指導援助」については、人間的な触れ合いを基盤に「児童生徒が自己理解を図り、自ら向上を求め、将来の見通しを意識しながら自己実現に向かって自発的に進んでいくことができるよう指導援助すること」ととらえました。

次に、自己実現を目指し、自発的に進んでいけるようにするためには、どのような指導援助が必要なのかを次のような六つの要点で考えました。

一つは健康であること(健康)、二つは心身共に安心できること(安全)、三つは温かく受け入れられ認められ、褒められる体験を通して所属感と愛情を味わえること(所属と愛情)、四つは心身共に自己受容できる基盤を確立し、自分を客観的に理解すること(自己理解)、五つは自分への誇りと自信を持てること(自尊)、六つは将来への展望に立った実践が自発的に行われること(将来への向上)。

以上の六つの要点のうち、一から三は四から六までの基本的条件ととらえています。基本的条件が満たされることによって四から六の各要点は充実するものと考えます。

さらに、開発的な指導援助のための十二の基本的対応を考えました。この六つの要点と十二の基本的対応を踏まえて、開発的な指導援助を展開してきました。

三 研究の概要

平成四年度は、これまでの成果を踏まえ、実践の場を授業を中心とする学校教育活動の全領域に広げました。

 

実践に当たっては、児童生徒一人一人の状況を意識調査や観察、面接等によってとらえ、最も必要とする指導援助の要点を中心にした指導仮説を立て、検証のための授業を実践しました。また、授業の実践とともに他の教育活動でも継続して指導し、事後の意識調査による変容の状況等を基にしながら、指導援助

 

協力校での実践領域と指導援助の要点

 

校種実践領域指導援助の要点関連して指導する要点
小学校道徳所属と愛情安全・自己理解
小学校国語自己理解所属と愛情
中学校理科自尊所属と愛情・自己理解
高校数学自尊所属と愛情・将来への向上
中学校特活将来への向上自己理解

 

 

 


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