教育福島0172号(1993年(H05)07月)-050page

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ふるさと探訪

県指定重要文化財(彫刻)木造阿弥陀如来座像

県指定重要文化財(彫刻)木造阿弥陀如来座像

所在地 河沼郡会津坂下町大字船杉字北杉大道上乙一一七〇

所有者 薬王寺

鎌倉時代初期を代表する仏師、運慶の伝統様式が伝えられている作例です。漆箔、彩色がすべて後補で、全体の像容は当初の彫り口の明快さを損ねてはいますが、目鼻立ちの過不足のない彫り口、広くあけた胸、ゆとりのある形姿には体貌とともに構想力が認められ、やや猫背の形勢には運慶の作風の特色が認められます。

また、太い衣文線のたっぷりとした彫法とあわせ、地方では稀にみる本格的な中央の作例であることが推察できます。

木造釈迦如来立像とともに、平成四年三月二十四日付けで県指定重要文化財として指定されました。

県指定重要文化財(彫刻)木造釈迦如来立像

県指定重要文化財(彫刻)木造釈迦如来立像

所在地 喜多方市岩月町大都字寺前一七三三

所有者 太用寺

この像は一般に清涼寺式釈迦如来像といわれ、肉髻部<にくけいぶ>(頭小餅の部分)を縄目状に編みして渦を巻くようにあらわし、通肩の柄衣を肉身に密着し同心円状の衣摺をたたむ表現に特色があります。

本像もかなり忠実に清涼寺像を模していますが、側頭部の張ったつくりや、くせの強い目鼻立ちなどに特徴があります。その点、本像は和様化の過程と作者の独特の彫り口がうかがえ、鎌倉時代の釈迦信仰の普及していったさまを知ることができる

貴重な作例です。

東北唯一のもので、昭和十九年七月十六日に国の重要美術品に認定されています。

なお、清涼寺の本尊は、永延元年(九八七)に僧◆年が入宋し、インドの優◆王(うてんおう)が釈尊の生身を写したという栴檀香木の像を◆京<べんきょう>(開封)より持ち帰ったもので、鎌倉時代の初頭から南都教学では「釈尊に帰れ」という信仰がおこり、本尊の模刻像が全国的にひろがりました。


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