教育福島0173号(1993年(H05)09月)-012page
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特集1
進路指導の充実
-中学校-
義務教育課
これからの学校教育においては、社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視するとともに、生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識をもって、主体的に自己の進路を選択決定し、生涯にわたる自己実現を図っていくことができるような能力や態度を育成することが重要である。
このような態度を育てるには、学校教育全体を通じ計画的、組織的、継続的な指導を行っていくことが必要である。
中学校の生徒は、心身両面にわたる発達が著しく、自己の生き方についての関心が高まる時期にあり、生徒の発達段階を考慮した適切な指導を行うことが大切である。
また、学習指導要領の総則第一の一には、「学校の教育活動を進めるに当たっては、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図ること」、と述べられている。
このことは、生徒が自ら考え、主体的に判断し、行動できる力を養うことが大切であることを意味している。
しかし、中学校における進路指導においては、現在次のような問題点が指摘されている。
ア、学校としての進路指導の目標やこれを実現するための指導計画が形式化・形骸化し、日常の指導に役立てられていない。
イ、専任の進路指導主事を中心として、三年間を見通した計画的、継続的な進路指導体制が確立されていない。
ウ、進路指導が、テストの点数や順位、あるいは偏差値で合格可能な高等学校を判定する指導に傾斜している。
工、学校が行う進路指導についての評価がなく、あっても指導の経過や結果から生じる諸問題について、省みられることが少ない。
このような問題点をふまえて、今後における進路指導の在り方については、生徒の将来における人間としての生き方の指導や人生観、職業観などに立脚した自己表現のための進路選択、決定への援助指導を一層充実を図っていく必要がある。
県教育委員会では、中学校における進路指導の重点施策として学習指導要領の趣旨を基に生徒自らの生き方を考え、主体的に進路を選択することができるように、学校教育全体を通して計画的、組織的な指導を行うため、次の三項目を設定している。
一、進路指導についての共通理解を深め、指導体制を確立する。
二、教育課程における進路指導の位置付けを明確にして指導計画を改善し、指導の充実を図る。
三、学校・家庭や関係諸機関との連携を一層強化する。
これらの重点施策を具現化するために、県では「教育福島」、九月号で毎年進路指導の特集を掲載し、資料や情報の提供を行っているところである。
以下、中学校における進路指導の望ましい在り方を求めて、自校の問題点や課題解決のため全校挙げて研究に取り組んでいる中学校の実践例を紹介する。
古殿町立古殿中学校では、平成四・五年度の二ヵ年にわたり進路指導の研究指定校として、研究実践に取り組み、その改善・充実に大きな成果をあげているところである。
「広い視野に立って自己を見つめ、生き方についての自覚を深める進路指導」を研究の柱に、研究主題にせまる授業づくり、学級づくりを中心として学校全体で実践研究を積み上げてきた。
なお、研究の成果は平成五年十一月十一日に発表される。
各中学校においては、進路指導の今日的課題を正しく理解し、古殿中学校の研究の成果を参考にしながら自校の進路指導の改善・充実に一層の努力を期待するものである。
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