教育福島0173号(1993年(H05)09月)-013page
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広い視野に立って自己を見つめ、生き方についての自覚を深める進路指導
=進路相談と啓発的経験を生かした学級活動を中心として=
古殿町立古殿中学校
一、はじめに
本校では、平成四年度、五年度と県教育委員会の指定を受け、進路指導の実践研究に取り組んできた。この研究は、生徒一人一人が、主体的に進路学習に取り組むことにより、将来を見通し、その人生設計をもとに、自分で判断し、進路を選択出来る能力を養うことをねらいとしている。そのために、従来の「学校選択指導」、あるいは「出口指導」といわれた進路指導の在り方を見直し、変動する社会に主体的に対応できる「生き方の指導」の実践研究を深めることをめざした。
二、主題設定の理由
(1) 今日の社会は、情報化、国際化、価値観の多様化が進み、複雑な社会になってきている。また、登校拒否や高校の中途退学者の増加なども大きな問題として注目されている。このような時、学校教育において、一人一人の個性を重視した「生き方」の指導が、真に求められている。
(2) 本校の教育目標である「自ら学ぶ生徒」では、「自主学習能力」を持った生徒を育成することをねらいとしている。
三年間にわたる計画的な進路学習を通して、生徒が自らのこととして積極的に取り組むことにより「自らの生き方を考え」「主体的な進路の選択」が出来るようになり、生涯にわたる「自己教育力の育成」につながるものと考える。
(3) 本校の生徒の多くは、「学力偏重」による進路選択をしがちであり、自己の適性を考慮したものとはいいにくい。地域の実態としても、通学可能な高校は限られており、生徒一人一人の個性に応じた進路選択が難しい環境にあるとも言える。(資料1参照)
以上のことから本校では、学級活動を中心とする計画的、組織的な進路指導を通して、一人一人が自己を見つめ、より良い進路について考え、選択することにより、「生き方を自覚」していくことで、本校教育目標の具現化や学校教育の今日的課題に迫ることが出来ると考え、本主題を設定した。(資料4参照)
三、研究の構想
1、研究のねらい
これからの進路指導は、「人間としての在り方・生き方に関する教育」の一環として位置づけられ、生徒一人一人が将来への夢を持ち、自己の可能性を切り開くことが出来るように、指導・援助することが求められている。
本校の研究において、課題として次のようなことが指摘出来る。
◎ 「生徒が自らの生き方」を考える指導・援助のあり方
◎ 「広い視野に立った見方・考え方」の出来る生徒の育成
◎ 「自己の特性」を理解させる指導・援助のあり方
このようなことを踏まえて、研究のねらいを以下のように設定した。
広い視野に立って、自己とその将来を見つめられる生徒を育成するため、進路指導における補充、深化、統合の場としての学級活動の授業に、主体的に取り組ませる手だてや、啓発的な体験学習や個に応じた適切な進路相談との、関連づけについて研究する。
このねらいを達成するために、研究実践の中心的要素として三つの点をあげ、その関係を次に示した。(資料2参照)
◎ 学級活動を中心とした進路指導
◎ 主体的に学ぶ進路指導
◎ 個性重視の進路指導
資料1 平成4年5月実施のアンケートから 2つ回答200%
(問)進路決定の決め手は何ですか。 1年 2年 3年 ア 自分の成績(学力) 75.0% 78.9% 62.0% イ 通学距離(学校所在地) 31.0 23.3 14.4 ウ 校風や教育方針 14.0 4.4 8.0 エ クラブ、部活動 22.0 10.0 12.0 オ 自分の適性 26.0 27.8 56.0 カ 進学状況 5.0 12.2 12.2 キ 就職状況 7.0 11.1 17.0 ク 学費 1.0 2.2 1.0 ケ 世評や評判 3.0 2.2 1.0 コ その他 1.0 0 0
○ 進路決定の決め手が3年間を通して「学力」という答えが多く、生徒の意識が学力に偏っていることがわかる。
○ 通学距離で決定しようとする意識が高く、地域の実態が表れている。
○ 1、2年の段階では「自分の適性」についての意識が低い。
○ 進学・就職状況など、先を見通した選択をしていない。
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