教育福島0174号(1993年(H05)10月)-049page

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博物館ノート

『家世実紀』

『家世実紀』

一八一五(文化一二)年六月完成二七七巻『家世実紀』は、一六三一(寛永八)年から一八〇六(文化三)年までの一七六年間の会津藩の歴史を、編年体で記したものである。『同書』の目的は、幼少で七代藩「王となった容衆(かたひろ)に「家世の旧事」を知らせることであうた。

内容は、初代保科正之の信州高遠藩三万石相続からはじまり、参勤交代、家臣団の構成、年貢諸役、家中・町村の諸仕置など藩政関係はほとんど網羅されている。そのほか、風俗・文化・天変地異や町村での小さな事件までも記されている。

会津藩は戊辰戦争でほとんどの藩政文書を焼失しており、『家世実紀』は会津藩政史を知り得る唯一の史料である。

現在、『家世実紀』は当館本を含めて三セットが現存しているが、このうち、当館本のみが一八一五年に完成した原本である。当館本は松平家に伝来し、第二次世界大戦中戦火に逢い、一部が焼失している。その後、会津若松市の御薬園に、一九八九(平成元)年以降は当館に寄託されていたが、本年六月に松平保定氏から当館に寄贈となった。


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