教育福島0174号(1993年(H05)10月)-050page

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ふるさと探訪

県指定重要無形文化財(工芸技術)

県指定重要無形文化財(工芸技術)

保持団体 上川崎和紙生産保存会代表者 安斎保彦

所在地 安達郡安達町上川崎字本仏谷五三

古く日本へ伝承された和紙生産技術は、西日本では三椏(みつまた)、東日本では主に楮(こうぞ)を原料に用いられてきました。

上川崎地方では、古くから〔康平年間(一〇五八〜一〇六五)から行われたと伝えられている〕楮の皮を材料とした手漉きの和紙製造を行ってきており、明治末から大正期にかけて製紙に携わる家は三五〇戸にも達したことがありますが、現在は辛うじて六戸が和紙の伝統的技法を堅持しております。

同会は、上川崎に伝承されてきた和紙生産の技術の保存、伝承を目的に平成二年五月に設立され、伝統的な製法により良質の和紙生産を研究しています。

平成四年三月二十四日付けで県指定重要無形文化財「上川崎和紙」の保持団体として認定されました。

県指定重要無形文化財(工芸技術)

県指定重要無形文化財(工芸技術)

上川崎和紙

所在地 安達郡安達町上川崎

所有者 上川崎和紙生産保存会

上川崎の和紙生産は地元で栽培している楮(こうぞ)を原料として、伝統的な製法と製紙用具で特殊な技術によって行われています。

1)楮を秋の落葉後に苅り取った後、楮引(かずひ)きと言われる白皮作業を行い、楮煮(かずに)には煮汁としてソーダ灰を用いる。

2)白皮は薬品による漂白は行わず、◆料を紙料に加えていない。

3)繊維を解かすための楮(かず)打ちは手打ちまたは打盤機を用いている。

4)抄造は「とろろあおい」(アオイ科の一年草植物)と称すネリを加え、竹簀(たけす)による流漉きである。

5)水分をとり除いた紙は板干しか鉄板干しで干しで乾燥させた後、裁断して紙ができあがる。

これら一連の作業は、長年の熟練した技術に依っているものであり、洋紙の普及等に伴い和紙に対する需要が減少し、和紙作りはほとんど姿を消してしまい、現在では上川崎和紙生産の伝統的技術は大変貴重であります。

平成四年三月二十四日付けで県指定重要無形文化財として指定されました。


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