教育福島0175号(1993年(H05)11月)-031page

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特集〔2〕

 

福島県の文化活動

 

−文化課−

 

福島県彫刻会

副会長 山上 廣

 

福島県の彫刻美術は、終戦後始まったと考えられる。県の総合美術展が昭和二十二年に始まり、その第三同展に彫塑部門が設置されるようになった当時、太田良平先生の御尽力により、漸く彫刻が県内美術の一部門として脚光を浴びるようになった。故菅野忠良先生を中心として、有志による彫塑クラブが発足し、市教育委員会が主催する夏季彫塑美実講習会がもたれて、関心のある方が多数参加して研修を重ねている。

昭和三十八年に約三十名を擁する「福島彫塑会」が結成され、福島高校に於いて講習会が毎年継続された。中合やデパート山田での展覧会も定期的に開催され、美術マニアで大変賑わったものである。昭和四十七年、第十回記念展から県の芸術祭参加行事に加わり、会の名称も「福島県彫塑会」と改称して、福島県芸術文化団体連合会に参画するようになった。昭和四十五年頃には、県内各地の会員は五十名に及び、夏季講習会には、佐藤義重、三坂欺一郎、佐野文夫、橋本堅太郎、神野義衛、高橋剛、細井良雄、雨宮淳、山本真輔、三坂制といった彫刻界屈指の先生方をお呼びする熱のこもった研修が現在でも続けられている。

昭和五十三年より、県芸術セミナー行事に参加し、教育委員会より、優良文化団体として表彰を受けることができた。三〇回を数える彫刻会展も、県教育委員会はじめ市教委、芸文連等の共催や、県及び福島市の文団連、美術家連盟そして県内新聞各社、テレビ各局等の後援等もあり、県の美術文化振興の一翼を担う衆目を集める展覧会にまで発展した。昭和四十五年に県の文化センターが設立し、以来展覧会場は美術協会展と同時開催で文化センターに定着している。

近年、県総合美術展における彫塑部門には彫刻会会員の作品が列をなし、既に特別賞十六名、県美術賞二十三名、美術奨励賞二十三名等大きな成果を挙げている。作品も頭像、半身像、等身像、石膏像、木彫、ブロンズ像など、材料や表現も広範にわたり内容が一段と充実して東北各県に類を見ない実績を積み上げている。

福島市では市制八○周年を迎えて昭和六十三年から「彫刻のある町づくり」を推進しているが、推進委員のメンバーに本会会員も参加しており、現在福島市地区に設置されている彫刻像だけでも五十体を数えることができる。その中に彫刻会会員の手になる作品もあり、地域文化の振興に寄与する面も大きい。

県内各地区では、それぞれ彫刻愛好者が集まり会を組織している。会津彫塑会を始め、いわき彫塑研究会、二本松彫塑クラブなど、立体美術に精魂を傾けている会員が数多く、各地の公園、施設等に会員が制作したブロンズ像があり、文化の薫りを引き立てる会員のたゆまぬ努力が実を結んでいる。

顧問である太田良平先生は、桑折町合併三〇周年記念特別展に、百四十六点に及ぶ作品を桑折町文化記念館に展示し話題を呼んでおり、近く梁川町に太田良平記念館が完成する運びになっている。また会員の中には自分の精進の成果を世人に問うため県内外において個展を開催しており、ひたむきな努力を見せている。

平成四年十一月、本会の展覧会も三〇回目を迎えて記念展を開催したが、五十七点に及ぶ作品が陳列されて盛会を極めた。これを記念し、本会の名称を「福島県彫刻会」と改め、組織の再編成を図ると

 

 

 


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