教育福島0175号(1993年(H05)11月)-032page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

共に、会員の作品を掲載した「三〇会展記念彫刻会誌」を発刊している。また本宮町における地方展も年々盛会裏に継続開催されている。

 

福島県歌人会

 

福島県歌人会

 

事務局長 粟城永好

 

第三十二回福島県芸術祭が相双地区を中心に開催された。この芸術祭主催行事として、県歌人会では、第四十一回福島県短歌祭を十月十七日、大熊町文化センターで開催した。講師に前現代歌人協会長近藤芳美氏を招くこともあって、これまでにない四七三名の参加が予定され、地区短歌会では、佐藤祐禎実行委員長を中心に意欲的に準備が進められた。

福島県歌人会は、昭和二十七年、短歌文学の振興と県内歌人相互の研さん・親睦を深めるために、流派・結社を越えて結成された。会長に天野多津雄(当時高等学校長)、副会長服部童村、事務局長阿久津善治の各氏と会員四十七名によるスタートであった。

その後、本会は県歌壇の中核となり、多くのリーダーたちの努力によって、数々の業積を重ね、四十年の輝しい歴史を刻んでいる。

本会の主な事業の四つをご紹介しよう。

一つは、冒頭にあげた「県短歌祭」である。今年で四十一回を数え、年々参加者も増えている。毎年、中央歌壇トップクラスの歌人を招へいし、会員に限らず、広く県内短歌愛好者の参加を呼びかけてきた。会場は、県芸術祭の開催地区に従うこととして、県内各地を回っている。県文化振興基金の助成を受け、また、県知事賞をはじめ各関係機関、各報道機関より多数の賞をいただくなどして、盛大に開催してきた。

次は、「県短歌選集」の発刊である。これは今年で四十巻となる。各会員一人十首、年間の佳作を自選出詠によるアンソロジーといえよう。会員名簿その他、県内各地域の短歌会やそれらの短歌誌、また出版歌集・歌書等の紹介を掲載して、県内四十に及ぶ短歌グループの活動のようすや個人による出版活動のようすなどひと目で把握できるように編集してある。これも県文化振興基金の助成にあずかっている。

三つめは、「県短歌賞」の設定による作品募集とその授賞である。今年で第十八回になった。未発表作品三十首を一編として応募し、毎年八月末日締切り、厳正な審査会を経て、一名が入賞となり、県短歌祭の席上で表彰されることになる。今年は十六編の応募があり、すでに審査会が終わって、受賞者は石川郡平田村の瀬谷よしのさんの作品「農地解放」に決定した。県文学賞と並んで、本県の権威ある二大短歌賞の一つである。

四つめは、「会報」の発行である。これは、年四回発行する。今、一三二号の編集中である。本会の活動状況はもちろん、会員個人の活動、また県内各地でのさまざまな活動状況の紹介、その他情報交換の場ともなって興味深く、会の重要な広報機能を果たしている。

以上の四つは、年中行事的であるが、これ以外にさまざまなイベントが行われてきた。「県歌人三十年史」の刊行、新春座談会、短歌実作研修会の実施その他である。

ここで、作品を紹介しよう。

平成三・四・五年度の県短歌賞受賞作品の中から各一首ずつを抜く。

・北北西の風の運べる明るさに栗の花房あをく揺れるる

田中フミ子

・近眼鏡はづせる視野に桜草も柱時計も輪郭持たず

佐々木勢津子

・夕つ陽に風吹きあぐるひとところさざ波のごと鉾杉光る

 

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。