教育福島0176号(1994年(H06)01月)-010page

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豊かな感性を育て

 

一人一人のよさを生かす表現活動

 

詩の指導を適して

 

安達郡安達町立下川崎小学校教諭 

 

久保和子

 

一、研究主題設定の理由

 

一、研究主題設定の理由

(1) 児童の実態〜私が出会った子どもたち〜

担任した児童(三年十一名)は、全体的におとなしく活気に乏しい。教師の話を真剣に聞くが、感情を素直に表すことが少ない。国語科で特に問題となるのは次の点である。

1)物語文の学習では、大きな声ではっきりした音読ができるわりに、読解においては、登場人物の気持ちを想像し、イメージをふくらませて自分なりの読み取りをすることが苦手である。

2)日記や作文の表現では、その時の気持ちや周りの様子をくわしく表現することが少ない。

3)発表したり、話したりすることでは、要点をおさえて話すことが苦手である。

4)事象をよく観察することでは、身の回りの出来事や季節の変化に心を動かし、生活に活かすことが少ない。

(2) 子どもに求めたい表現力

新学習指導要領国語科では、言語を通しての思考力や想像力及び言語感覚を養うことを重視しており、話すことや書くことの活動を十分に行い、作文の指導を重要視している。

詩の創作活動のねらいは、「感覚を働かせて物事をとらえる目を育て、細やかな観察力と豊かな想像力とを養い、言葉の感覚をみがくこと」にある。

詩は、小さな発見や新鮮な驚きを短い文に表現したものであり、見たとおり、思ったとおりに書けばよいので、作文嫌い、発表の苦手な子どもたちでも取り組みやすいと思われる。また、三・四年生の表現領域のねらいでもある「要点や段落等をしっかりおさえること」にも効果的であると考えられる。以上の点から、詩の創作活動を通して感性豊かな子どもに育てたいと考え、本主題を設定した。

(3) こんな子どもに育ってほしい

「感性」とは、一言で言えば「価値あるものに気づく感覚」「刺激に対する感応のしやすさ」である。

「言語感覚」は、言葉の使い方に対する「適否・正誤・美醜」を見分ける能力で、知的判断に支えられる。

感性は、情緒的であり「想像や創造」とのかかわりが深い。したがって、感性を豊かにすることと言語感覚を鋭くするということは、たがいに影響を与えるということになる。

以上のことから、本研究でねらう豊かな感性をもつ子どもの姿を次のようにとらえる。

○ 弱いもの、ほのかなもの、かすかなものへ目を向けたり、自分の内面を見つめたりすることができる。

○ 対象に対して「おかしいな」「ほんとかな」「ふしぎだな」と好奇心をもつことができる。

○ 対象そのものになりきったり、語りかけたりして、いろいろとイメージを描くことができる。

○ 心が揺さぶられたとき、心の動きを再認識し表現しようとする。

○ 文章の中の言葉に鋭く反応し、柔軟で多様な表現ができる。

 

二、感性を育む四つの視点

 

視点一 日常生活の中で、五感を働かせる習慣や態度を養う。

視点二 学校生活や遊びの中で心に強く感じた体験に目を向けさせる。

視点三 対象となるものを注意深く観察させ違いや変化に気づかせる。(授業) 視点四 一つの物事から連想を働かせたり、イメ−ジを広げさせたりして、表現のおもしろさに気づかせる。

 

これらの視点に基づいて、支持的な学級集団を基盤にして継続指導を試みるならば、子どもたちに豊かな感性を育むことができるであろう。

三、研究の計画

省略

(1) 対象・実施時期

省略

 

 

 


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