教育福島0176号(1994年(H06)01月)-021page

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児童の道徳的心情が、表面に表れず、手応えとして感じとることができないのは、意識することが少なく、行動の基準の中での優先順位が低いためだと考えられる。そこで「なにを(本時の資料)、どのようにして一指導の方法一、どうであったものを(実態)、どうするのか(目指す児童の姿、評価の観点一」という指導のプロセスが、道徳的心情が育つステップ(1)既成概念が崩れる。2)驚きを感じる。3)自分の感じ方を問い直す。4)尊敬の念を抱く、または親しみを感じ、同化しようとする。5)憧れをもつ。)につながるように授業を行えば、意識化させ、優先順位を上げるための働き掛けとなる。

そして、道徳の時間で感じたことが日常生活の中で確認され強化されていくことによって意識が継続され、道徳的心情が育つという手応えが得られるようになると考える。

(イ) 道徳的心情を育てる資料の自作・改作や提示の工夫

本研究では、テレビ番組を編集したビデオ教材を中心となる資料として活用した。映像と音楽の効果は、大きく大変有効である。また、番組をそのまま視聴させるのではなく、指導のねらいに沿って編集することによって、児童の見方、考え方を焦点化することができる。

(ウ) 道徳的心情が育つステップを基盤にした評価の在り方

共感的に理解し、児童を生かすように肯定的な評価を心がけ、道徳的心情が育つステップを基盤にした一人一人の変容を重視した。道徳の時間の指導は即効を期待するものではない。指導する側が意識し、絶えず働きかけをし、その反応を求めていれば、児童は応じてくれるのである。つまり、道徳的心情が育つ手応えは、計画的に継続して手応えを求めていくことによって得られるのである。

五、研究のまとめと今後と課題

(一)研究のまとめ

道徳的心情が育つ道徳の時間の指導を行うためには、1)指導のプロセスが明確な道徳の時間、2)計画的・継続的な指導と児童の道徳的心情が育つステップを基盤にした評価、3)他領域との関連を図った指導計画の三点が重要である。

本研究を通して、指導の手応えが感じられなかったのは、児童の変容を見付け出そうとする姿勢が足りなかったからだと分かった。進んで求め、見出すためには、具体的な指導計画の指導の場と観点と内容に沿った評価計画を明確にしておく必要がある。

(二) 今後の課題

(1) 道徳の時間

1) 道徳の時間の指導のプロセスを、さらに検討する。

2) 特性を生かした資料の活用を図る。

3) 資料の自作・改作に取り組み、特にビデオ教材の効果的な活用方法を工夫する。

4) 資料の特性を生かすよう指導過程を工夫する。

(2) 評価

1) 児童の実態把握の方法、学級集団としての変容をとらえる方法、児童一人一人の変容をとらえる方法、それぞれから得た客観的なデータを共感的に理解する観点の共通化を図り、学年を越えた長期間にわたる評価ができるようにする。

2) 指導のプロセスと道徳的心情が育つステップとのつながりを評価に生かし、指導の評価の一体化を図る。

(3) 学級における指導計画

年度の早い時期に作成し、計画的、継続的な指導を行えるようにする。

 

資料5 道徳性の評価[3−(2)]

 

 

 

 


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