教育福島0176号(1994年(H06)01月)-022page

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地域に根ざす環境教育の試み

 

「身近な環境への関心を高めるクラブ活動」

 

−科学クラブの活動を中心として−

 

郡山市立富田小学校教諭

 

八代之宏

 

一、研究主題の設定の理由

 

一、研究主題の設定の理由

1 今日的課題から

現在、地球上では様々な形で環境問題が顕在化しつつある。オゾン層の破壊・熱帯雨林の減少・地球の温暖化・酸性雨などは連日のようにマスコミを通じて報道されている。

これらの環境問題を一つの「系」の中での問題としてとらえ直しその総合的な研究対策及び技術開発と適用が将来に亘って必要とされている。

また、環境問題は、人類全体の生存に関わる問題であり、とりわけ二十一世紀を担う子供たちには、生きていく上で避けて通れない重要な課題の一つである。

2 新しい学力観と環境教育

現代のように変化の激しい社会にあっては「新しい学力観」が強調するように、自ら学ぶ意欲と思考力・判断力・表現力などの能力の育成が必要とされてきている。

新指導要領では、「環境問題」も今後社会全体の中で考え対応していかねばならない課題の一つととらえ、各教科等の内容の中でその取り上げられ方が配慮されてきている。

したがって、身近な環境問題に対する関心・意欲・態度そして思考力・判断力・表現力を育てるためにも学校や地域の実態に応じた環境教育の実践が必要とされていると考える。

3 児童の実態とこれまでの授業実践から

子供たちのほとんどは、新聞やテレビなどマスメディアの報道を通じて、地球的規模の環境問題について、さまざまな情報を受けとっている。

しかし、これらの情報は間接的なものであるため、身近な地域の自然環境の変化などについて、子供たちは直接的、体験的に理解しているとはいえない状態にある。

環境教育では、まず子供たち自身が住んでいる地域の環境などに目を向けさせ、体験的な活動を通して、日常的に環境をよりょくしようとする行動がとれる態度を育てることが大切である。

そこで、学校教育の場で「環境教育」を進めていくには「クラブ活動」がふさわしい場の一つであり、子供たちに日常的に地域の環境変化に関心を持たせていく上で、中心的な役割を果たせるのではないかと考えた。

以上が、主題設定の理由である。

二、研究主題の基本的なとらえ方

1 「環境」とは (省略)

2 「環境問題」とは (省略)

3 「身近な環境への関心」とは

文部省『環境教育指導資料』では環境教育で育てるべき資質や能力として、新しい学力観との関連で次のものが挙げられている。

1)環境に対して積極的にかかわったり、よりょくしようとする関心や意欲、態度など

2)環境に関わり、それについて考えたり判断したりする思考力や判断力、及び表現力など

3)環境にかかわって課題を見つけたり、解決したり創造するために必要な知識・理解や技能など

ここでの「関心」とは、一つの事物・事象に心が引き付けられる状態だとおさえた。

以上をふまえ、「身近な環境への関心」とは、「子供たちの日常生活の基盤である学校家庭を含めた地域の環境に生じてきている変化に気付き、自分達の住んでいる地域の環境がよりょくなって欲しいという思いや願いを何らかの形で持つ状態」ととらえた。

 

三、研究の視点

1 「クラブ活動と環境教育」

文部省『環境教育指導資料』では、小学校における環境教育のねらいとして、以下の三点を強調している。

1)豊かな感受性を育成すること

2)活動や体験を重視すること

3)身近な問題を重視すること

これらの目標を達成するために、今回の教育課程では特別な教科を設けることはなく、各教科、道徳、特別活動を通して行うこととしている。

しかし、教科の指導においては環境問題を自分達の身近な問題として

 

 

 


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