教育福島0176号(1994年(H06)01月)-024page

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してずいぶん優しく接することができる自分を発見し、驚いた……とのことである。

私は、自分の子ども(四歳と一歳)を夫の母親に日中養育してもらって仕事に出ているが、この記事を読んで考えさせられたことが多かった。

昨今は、夫婦共働きの家庭が多いが、家庭での子どもの教育についてもっと真剣に考えなければならない、と私自身強く反省させられた。日頃父親も母親も家にいない家庭で育つ子どもたちは、どういう子どもに成長していくのだろうか。

仕事をするからには責任を果たし、やるべきことは中途半端で終わらせたくないので、またまた考えさせられるのである。

私は教職経験が浅く、未熟な点も多いと思っているが、ある意味では教員になってもう十年も経つのだから、それなりの仕事をしなければ恥ずかしいとも思う。しかし、まだまだ中身も仕事も思うようにはできていない。学校でも家庭でも、時間に追い立てられて十年になろうとしているが(二人の子どもを出産・育児のため、二年半は休暇一、今までに、出産・育児のために仕事を休まなければならない事態になる度に、仕事と家庭の両立や育児について考えさせられた。

女性の場合、真剣に仕事に専念できるのは、子どもが大きくなってからであろうか。しかし、若いがゆえに吸収できることも多いはずだ。もっと多くのことを吸収し、自分を高めるという気持ちはいつまでも持ち続けていきたい。

子どもについては、やさしさ、誠実さ、責任感、強い意志を持った人間に成長していってほしいと念じている。日頃一緒にいてやれないのに、期待することは大きいのである。今後の子育てに多くの不安と期待を抱くことも多いが、今日の一日を大切にして教育に専念することはもとより、家庭教育にも目を向けて前進していきたいと思う。

(白沢村立白沢中学校教諭)

 

自安我楽

 

猪狩和雄

 

ナーハハーモーホホホーホーイ

 

ナーハハーモーホホホーホーイ

モホホホーホイメーエェー

オセーオセ

盆では米の飯 おつけでば茄子汁十六ささげのよごしはどうだ

オセーオセ

 

独特の節回しで始まるのは、いわき地方に古くから伝わる郷土芸能、じゃんがら念仏踊である。安土桃山時代に磐城国出身の学僧袋中上人が創始し、江戸時代に名僧祐天上人が広めたと伝えられている。

この伝統ある念仏踊を一度はやってみたいと思っていたが、三年前に友人の紹介で御厩地区じゃんがら保存会に入会することができた。

早速、練習に入ったが、私が覚えなければならないのは先程紹介した唄と鉦、そして踊である。先輩の後について、目と耳と体全体で覚えなければならない。初めてのことを体験する緊張感と、教える立場から教わる立場になったことが、何か新鮮な気分である。

踊の場面によって、鉦のリズムに微妙な違いがある。太鼓を打つ人の身ぶりで鉦の音を止めたり、また打ったりする。まさに、目と耳と体で覚えるしかない。何度もくり返し、何度も間違える。会長からビデオを借り、自宅に帰ってからも茶わんと箸で練習。毎日毎日の練習で、鉦を持つ手、ばちを持つ手にまめができる。さすがに伝統芸能、そう簡単には近づけてはくれない。これでもか、これでもかと試練を与えてくれる。

こうして、仲間との練習、家での練習が一ヵ月あまり続く。何とかものになってきたときには、両手のまめはたこに変わっていた。

八月十三日、十四日は新盆の家々を回る。夏らしい伝承衣装、独特な踊に太鼓と鉦のひびき。地区によってリズムや動作が多少違うが、それぞれの地区の伝承をかたくなに守っている。

御厩地区のじゃんがらはテンポが速く、サンバのリズムに近い。太鼓と鉦が調和し高潮したときには、踊る者も観る者も無我の境地に入る。一曲終わると汗びっしょり。これを一日に三十軒から四十軒の家でくり返すことになるが、どこの家でも心から喜んでくれ、仲間と一緒に何ともいえない充実感に浸ることができる。じゃんがらは、まさに読んで字の如く、自安我楽である。

次の目標は、太鼓をたたきながら舞うこと。地域に溶けこんで、仲間と共に頑張りたい。

いわきの夏の風物詩「じゃんがら

 

 

 


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