教育福島0176号(1994年(H06)01月)-033page

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持ち、逢瀬川がきれいになって欲しいという願いを持つのに効果があった。

3 「酸性雨って何だろう」

(富田町に降る酸性雨調査)

(1) 実践の意図 (省略)

(2) 教材性について (省略)

(3) 活動の実際と考察 (省略)

4 「たんぼぼマップをつくろう」

(在来種と外来種のタンポポの分布を調べる)

(1) 実践の意図 (省略)

(2) 教材性について (省略)

(3) 活動の実際と考察 (省略)

 

六 研究結果の考察

 

1 身近な環境問題を掘り起こし、直接体験炉できる教材を開発すること

 

水質の汚濁や大気のよごれなどについての環境問題は、児童も社会・理科などの学習や新聞やTVなどで、ある程度知ってはいるが、以前はそれほど児童には切実な問題ではなかった。

しかし、逢瀬川の水質調査や酸性雨の調査、タンポポマップづくりなど直接経験を通して、児童たちは一般的な環境問題を自分たちの身近な問題としてとらえ直し、富田町の環境が良くなって欲しいと考えるようになってきている。

水質調査後に児童が書いた「水質調査新聞」の中には、「みなさんも、てんぷら油などを流さずに逢瀬川を守って行きましょう。」という文章があり、児童の率直な思いが表わされている。

 

2 地域の中に活動の場を設定し、環境への働きかけを日常的なものにすること

 

本研究で、地域の中にクラブ活動の場を設定したことをきっかけとして、自分の通学路のタンポポの分布を調べたり、自分で逢瀬川の上流の水生生物を調べる児童なども出てきた。したがって、地域の環境に対し、日常的に関心を持たせることに効果があったと思われる。また、本校の今年の夏休みの児童の理科の自由研究などに環境をテーマにしたものが増えてきている。科学クラブの児童の中には「逢瀬川の健康診断」を発展させて「逢瀬川の汚れの原因と家庭排水の研究」を行った者もおり、自分なりに木炭で家庭排水が浄化されるかどうか試すなどの工夫が見られた。

また、科学クラブ以外の児童の中にも「郡山市の酸性雨の研究」や「馬場川のホタルの研究」を長期間継続する者が出てきている。

 

3 「みんなの科学」や掲示物によって地域の環境変化やクラブ活動を紹介すること

 

科学クラブの通信「みんなの科学」では、前述のような地域の環境の変化を見いだす視点や活動の仕方を児童に示唆したり、科学クラブの活動を紹介してきた。

これによって毎回の「みんなの科学」を読むことが、児童に地域の環境に目を向けさせ、活動の動機づけになったり、父兄の中からも毎回発行を楽しみにしているなどの反響も出てきた。

また、廊下には「逢瀬川の健康診断」の活動の様子の写真や調査結果を掲示したり、「酸性雨調査結果」や「富田町のタンポポマップ」(資料2)など時期を選んで掲示してきた。

これらの掲示物を見て、他の児童も科学クラブの活動に興味を持ちタンポポマップづくりに情報を寄せてくれるなどの効果が見られた。

七、今後の課題

1 学校全体に活動の輪を広げる

今までの活動は、一つのクラブ中心であったので、活動の趣旨の全校的な理解を図り、児童会中心の環境教育の活動の在り方も含めて実践の方向性を考えていきたい。

2 実践事例を教科の環境教育の中

心に生かす

本来は、環境教育は教科、道徳、特別活動全体を通じてなされるべきものである。そこで、この実践を参考にして、教科の単元の目標や内容との関連を考慮しながら、まず、理科・社会・家庭・保健体育などの授業に生かす方策を考えて行きたい。

3 「リサイクル」の教材化や実践化を図る

環境の問題点の調査ばかりでなく、資源の再利用という点にも目を向けて、今年の一学期には「使用済み食用油の石鹸づくり」を試みている。これからは、本校の四学年などが実践している再生紙づくりなどとも連携して、リサイクルの教材化や実践化を図って行きたいと考えている。

 

資料2

 

 

 

 

 


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