教育福島0176号(1994年(H06)01月)-048page

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図書館コ−ナ−

 

福島県公共図書館の概況

 

−平成四年度実績から−

 

毎年、県立図書館では県内公共図書館の実態調査を行っている。図書館を取りまく環境や情勢は、通常内面から少しずつ進展していくため、あまり急激な変化を見せることはないが、この数年、大きな変化が見え始めている。

それは、情報化社会や生涯学習時代の到来が、言葉だけではなく、実際に具現化してきたということであるが、これは、図書館に次のような変化をもたらした。

1)「町村での図書館設置の促進」

2)「コンピュータの導入」

3)「ニューメディアの普及」

以前、町村に図書館を作ることは難しいとされてきた。それは、中小図書館といわれるものでさえ、人口五万人程度の小都市図書館を指し、町村においては、財政的にも良い図書館はできないとされていたからである。しかし、決して大きな自治体の図書館だから活動が良いとはいえない。むしろ本県では、下表参照のとおり、双葉町や岩瀬村など人口一万人未満の町村が目立った活動をしている。

大きな図書館は、多くの蔵書と利用者により、職員はスーパーのレジにでもいるかのような貸出処理をこなしている。勿論、利用が多いことは素晴らしいことであるが、それだけでは良い図書館とはいえない。出会いや発見、コミュニケーションがある。それがあって本当に良い図書館といえるのではないだろうか。

小さな図書館は、地域へのきめ細かなサービスを行うことで、資料や奉仕人口の少なさを補い、良い図書館を作り上げてきた。その活躍は、小さな自治体でも図書館が成立することを充分に証明した。また大きな自治体では、分館等の整備による図書館環境の活性化と、それに伴うきめ細かなサービスを展開していく動きが見られるようになった。

次にコンピュータの普及は、図書館が情報センターであることを痛感させてくれた。図書館においては、事務処理の効率化より、むしろ情報の多面的活用に重点がおかれ、そのサービスシステムに大きな変革をもたらした。現在七市町村が導入し、今後予定している所も多い。

国際的には、データベースも電算システムも、日本はまだまだ比較にならないが、今後は、コンピュータによるネットワークの形成や遠隔地サービス等、図書館運営の進展が期待されるところである。

更に、ニューメディアの普及やマンガの導入も進んでいるが、これは今まで利用の少なかった、中高生を主とした新しい利用者層を開拓することとなった。

高度な図書と、それを利用する者こそが図書館には相応しく、一般には敷居が高いという歪曲した考え方が昔はあったが、今では、地域住民が求めるあらゆる資料を収集するという、公共図書館本来の姿となってきている。言い換えるならば、図書館が特別な施設ではなく、一般のものとなってきた現れといえる。

生涯学習時代。図書館は必要不可欠なのである。

 

【人口1人当貸出冊数及び人口1人当資料費・蔵書回転率〔本館及びBM〕】

平成5年4月1日現在/※印は人口1人当たり

平成5年4月1日現在/※印は人口1人当たり

 

 

 


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