教育福島0177号(1994年(H06)02月)-020page
にやらなければならない時と、楽しくやっていい時とをうまく組み合わせ、チーム全体を練習に集中させていました。チームにありがちな部員同士のもめ事も、ほとんどなかったように思います。私の気づかないところで解決してしまっているのか、そうした問題でA子から相談を受けることはありませんでした。
なぜ、A子がこのようにキャプテンとしての役割を果たせたのか、その理由を考えてみますと、まず、キャプテンとして部員の信頼を一身に集めていたことがあげられます。それは、日頃の生活態度や練習態度がしっかりしていて、他者への思いやりの心をもって接していることなどから生まれているように思います。それに、ソフトボールが大好きであるということが考えられます。好きな事のために、様々な困難も乗り越えようとする気持ちをもっていたからだと思います。
部活動の指導を通してA子のようなキャプテンに出会えたことは幸せでした。ワールドカップのテレビ観戦を通じて、A子のようなキャプテンを育てることが、部活動の顧問としての大切な役割ではないかと、改めて考えさせられました。
(喜多方市立第一中学校教諭)
ただ一人の二年生
田部正和
石住中学校は、通称・御斎所街道と呼ばれている県道いわき石川線沿いにあり、全校生徒六名の小規模校である。
本校では、F君がただ一人の貴重な二年生である。
小学校に入学してから、いつも一人だったため、中学校に入学する時、両親はかなり悩んだと聞いている。
「多くの生徒の中で学ばせたい。集団の中で、ともに考え、悩み、競い合い、互いに自分自身を磨き合いながら生活させたい。」それが親の願いであったろう。
複式授業とは言え、六年間、学年一人で過ごした我が子を思えば、親として当然の思いだったに違いない。
「可愛い子には旅をさせよ。」教育に熱心で、進歩的な考えの両親は、F君を家庭から離してでも、もっと規模の大きい中学校へ入学させたかったようだった。
そんなF君も、もうすぐ三年生になろうとしている。今までの中学生活の様々な体験を通して、心身ともにたくましく成長している。
十二月の末に二百十六名が参加して行われた、いわき卓球選手権ではみごと準優勝を果たした。技と力と精神力の著しい成長ぶりは、応援する教師、保護者、後輩たちに多くの感銘を与えてくれた。
現在F君は、生徒会長、一・二年生の学級委員長、卓球郡部長、いくつかの教科委員等、小規模校ならではのたくさんの役を持ち、忙しい毎日を過ごしている。
その他でも発明工夫展や読書感想文の入賞・入選、老人ホーム訪問のボランティア活動等、様々な分野で活躍している。
F君の授業はすべて一・二年の複式だが、良い素質にも恵まれ、個に応じた指導で確実に力をつけている。
一年生のときは、実用英語技能検定試験四級を受験して合格。さらに学校と家庭だけの学習で、三年生の内容を含む三級に合格するという自らの目標を達成した。これは少人数の学習だからこそ可能だったと思う。
「学校生活においては、個が集団の中で学ぶ。そこに個々の考えや意見があって、多様な発想が生まれ創造性が培われる。」
本校においては、常日頃より学習者中心の考えに基づき、多くの学習者を想定した授業実践に努めているが、反面少人数の利点も十分生かすよう心がけている。
基礎.基本を土台とし、自ら考える力、表現する力、創造する力、学ぶ力をしっかり身につけさせ、二十一世紀に十分活躍できるような人間に成長して欲しいと願っている。
(いわき市立石住中学校教諭)
園舎改築
加藤菊代
平成六年二月、新園舎の完成です。改築までには、長い年月を要しました。縁あって二度目の勤務園ですが