教育福島0177号(1994年(H06)02月)-027page

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重を図る学習指導を工夫・改善するとともに、新しい学力観に基づく学習状況や学力の実態を把握し指導に役立てるため、「学力診断テスト」を開発する研究を進めます。

(二) 「学力向上調査研究」

社会の変化に伴い、児童生徒のものの見方、考え方も多様化している一方で、基礎学力が身についていない児童生徒が増え、また県内の高校・大学への進学率が全国平均より低い段階にあり、これらの解決が本県の大きな教育課題となっています。そこで学力が身につかない原因はどこにあるのか等の問題について様々な視点から調査研究し、県の学力の現状と問題点を把握し、学力向上に向けての方策を探っていく考えです。

(三) 「情報教育ネットワークシステム研究」

各学校における情報教育及び機器の普及に伴い、学校における教育活動や教職員の研究等への支援のため、多岐にわたる教育用データベースやソフトウェアライブラリー等の利用できる環境の構築が問題となってきました。そのためには、各種のデータを保有する教育施設と各学校間をパソコン通信で結ぶ「教育情報ネットワークシステム」の構築が必要になってきています。本県においてどんなネットワークシステムが適切なのかについて調査研究を進めます。

(四) 「教育相談調査研究」

この研究では、不登校をはじめ増加傾向にある「学校不適応」の背景にある様々な要因の本質をとらえ、適切な援助の在り方を実証的に調査研究していきます。五年度は、不適応状態にある児童生徒への援助の方向性を明らかにすることができました。

平成六年度は、その成果を踏まえ集団・対人への適応意識や個の持つ適応力を高めるために、「環境と個の調整と構成」に向けた指導援助の試案を作成していきます。

 

三、 情報教育

情報教育に関する事業として、教員研修と高校の生徒実習を行います。教員研修は専門研修と基本研修があり、専門研修では、汎用電子計算機やパソコンを用いて情報処理技術・情報活用能力を高めるための研修を、基本研修では、コンピュータ活用の基礎を培う研修を行います。

生徒実習では、プログラミング、パソコンCAD等の実習を行います。

平成五年度の教員研修者数は、延べ約六、七〇〇人、実習した生徒数は延べ九〇〇人でした。

 

四、 教育相談

(一) 適応指導教室(HFTクラブ)

不登校児童生徒数は、年々増加傾向にあります。このような現状に対応し不登校問題への有効な対策の在り方を研究するために、教育センター内に「適応指導教室」を開設しています。五年度は、カウンセリングによる児童生徒の不安や悩みの軽減を図るとともに、野外活動やゲーム等の様々な小集団活動を通して集団への不適応感を取り除き、集団活動への参加意欲を高める援助を進めてきました。

平成六年度は、前年度の小集団活動で培われた自主性・協調性・社会性をさらに強化する援助の在り方を探り、不登校問題への対策を研究します。

(二) 来所・電話相談

幼児・児童生徒の教育上の様々な問題について、保護者・学校からの相談に応じ、解決のためにカウンセリング・遊戯療法等による指導援助を行います。必要に応じて専門医のカウンセリング、心理判定員による心理テストも実施しています。

五年度十二月末までの来所相談は延べ一、〇七七件、電話相談は九五○件となっています。主訴別では、次のような相談内容が目立ちました。1)知能・学業(発達遅滞・学業不振)2)正確・行動(不登校・集団不適応多動・盗み・家出・暴力・性格的問題・かん黙)3)身体・神経(チェック・夜尿・抑うつ)4)進路・適性5)教育一般(子供の養育・生徒指導の方法)

 

五、 教育図書・教育資料

(一) 教育図書・教育資料の収集・管理と資料提供

学校の教育活動を支援するために、広く教育専門書・月刊誌や大学・研究機関等の研究紀要等を収集整理し、その総数は八八、○○○冊に達しました。なかでも教育活動に直接活用できる教育資料は、全国の教育機関や県内各学校の研究紀要(五年度より収集整理開始)等です。これらは、県内各学校や個人のニーズにこたえるため、毎年その主題一覧表を「教育資料目録」としてまとめ紹介しています。これらの図書・資料等の利用・貸し出しについては、迅速に対応するためにコンピュータによる検索を行っています。なお遠隔地にある学校・個人の利用に供するために、郵送等による貸し出しも実施しています。また、学校・個人の現職教育・教育研究の相談にも、来所・電話相談により対応しています。

(二) 「所報ふくしま」の発行

教育センターのプロジェクト研究・所員の個人研究や事業の内容・研修生の研究報告、県内の小・中・高校の実践研究等を紹介するため、年四回「所報ふくしま」を発行します。

 

 

 


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