教育福島0177号(1994年(H06)02月)-030page
研究実践
思いやりの心を育てる楽しい学校給食
・・楽しい学校給食活動の実践を通して・・
平成4・5年度
福島県教育委員会・(財)福島県学校給食会
塩川町教育委員会指定学校給食改善研究
耶麻郡塩川町立塩川小学校
一、 研究主題設定の理由
(一) 今日の課題
今日の様々な社会状況の変化は児童を取り巻く環境においても、見せかけだけの子どもたちの豊かな食生活や友達関係の希薄化など新たな教育的問題を生み出している。こうした中で、学校給食のあり方についても、「健全な心身の育成を図る教育的活動」の重要なひとつとして見直す必要があると考える。すなわち、社会の変化に主体的に対応し、生涯を通じて健康な体と豊かな心を持ち続けさせるためにも、学校給食の新たな指導が重要である。
(二) 児童の実態と本校教育目標
給食の時間は子どもたちにとって楽しいものであるが、食事の仕方や、当番活動に対する態度は十分とは言えない。本校の教育目標の具現化を図るひとつの手立てとして給食指導を考えるとき、日常の給食指導や児童の活動が、どの目標実現に係わるのかを意識しながら、給食に携わる人々や友達に対する感謝・思いやりの心が身に付くようにしていかなければならない。
(三) 学校給食のねらい
学校給食のねらいは、「実際の食事という生きた教材を通して正しい食事のあり方や、好ましい人間関係を体得させる」ことである。こうしたねらいを踏まえ、本校では、人間としての望ましい勤労・奉仕・協力・感謝の心を、楽しい給食活動の積み重ねによって身に付けさせ、心身共に健康で思いやりのある児童の育成を図ることを目標として研究を進めることとした。
二、 研究主題の受けとめ方
(一) 『思いやり』について
「思いやり」とは、「相手の気持ちを考えること」である。このことは、給食に携わる多くの人々の苦労や心遣いに対し感謝の心を持つことであり、共に会食する人々へ温かい配慮の心を持つことである。給食の様々な活動を通してこうした児童相互、児童と教職員、親子、地域の人々との心のふれあいを図ることは、本校の教育目標の実現につながるものと考える。
(二) 『楽しい給食』について
『楽しい給食』とは、給食の時間がすべての児童に待ち望まれ、喜ばれることである。そのためには、正しい食事の仕方を身に付けお互いに気持ちよく会食できること、また、食事にふさわしい環境を整えゆとりのある落ち着いた雰囲気の中で、工夫された食事ができることが大切である。こうした明るく和やかな雰囲気の中で行われる給食活動の時間の積み重ねは、本校の教育目標の実現につながるものと考える。
三、 研究仮説
正しい食事のあり方を身に付けさせ、創意ある学校給食活動を通して好ましい人間関係を育成すれば、楽しい給食の場が形成され、思いやりの心を持った児童に育つであろう。
楽しい親子給食
四、 研究の実際と成果
「研究のねらい」「方法」「研究内容」については研究の構想を参照にしてほしいが、これらの研究実践を通して一番大きな成果は、学校給食の意義について職員の意識が高まり、日常的な研究実践が継続されたことである。それに伴って、児童の意識も改善され、望ましい給食活動が行われるようになってきたと言える。
(一) 児童の発達段階を考慮した系統的な給食指導のあり方について指導計画を作り、計画的に実践を積み重ねてきた。その結果、給食に携わる人々への協力や思いやりの態度、正しい給食のマナーを身に付けた児童が増えてきた。