教育福島0178号(1994年(H06)04月)-009page
−終末」の順序で構想してみるなど、各段階でのねらいや時間を考慮した柔軟な授業づくりに努める。
○ 指導過程を道徳の時間で全てやろうとしないで、事前・事後指導の時間も考えて他の教育活動と関連付けを図るなど弾力的に取り組む。
○ 一つの内容、項目に関連する主題を一つの単元のようなとらえ方をし、各主題の指導の重点や発展性を明確にして、指導内容が児童生徒一人一人に身につくよう工夫する。
(2) 多様な指導方法を工夫する
児童生徒の側に立った授業づくりでは、従来の指導方法を見直し、児童生徒が主体的に取り組める学習活動となるよう吟味し、適切に取り入れることが望まれる。
○ 先行オーガナイザー法(教育センターの研究成果による)など資料提示の工夫や授業の活性化につながるモラルジレンマ資料の活用
○ 児童生徒の道徳的価値観をゆさぶり、多様な価値観を引き出す発問の工夫
○ パネルディスカッションやバズセッション、ディベートなど児童生徒が意欲をもって取り組める話し合い活動の導入
《自分を見つめる場を設定した指導過程》
三、豊かな体験の場の設定
学校教育全体で実践される豊かな体験活動は、それぞれに独自のねらいを持っている。それらのねらいを道徳との価値内容とのかかわりでとらえ直しておくことは、一人一人のよさや可能性を生かし、育てる上で重要になる。豊かな体験活動は道徳的課題が浮き彫りにされたり、内面的な自覚がより強められたりするからである。
(1) 道徳的価値内容との関連
四つの視点(自分自身に関すること・他の人とのかかわりに関すること・自然や崇高なものとのかかわりに関すること・集団や社会とのかかわりに関すること)と体験活動の関連を見直し、よさや可能性を生かし育てる場が確保されているか見直す。
○ 道徳の時間において、多様な指導過程により真剣に自分自身を見つめる場があるか。
○ 学校や学級の支持的風土の中で、他を思いやる機会があるか。
○ 道徳的な環境や豊かな体験活動の中で、感動する場や機会があるか。
○ 豊かな人間関係を基盤とした様々な学習活動や奉仕等の体験活動の中で、学級や集団のために尽くす活動や機会があるか。
(2) 環境と道徳教育との関連
学級や学校環境が児童生徒の道徳性の発達に与える影響は大きく、人間・空間・時間の三間の環境の整備充実に努めることが大切である。
○ 人間関係の充実……教師と児童生徒との尊敬と信頼関係を基盤に、児童生徒相互の認め・助け・励まし・学び合う場と機会を積極的に設ける。
○ 教室などの整備……環境美化や整理整頓に自主的に取り組む勤労体験活動や、作品などの掲示や展示を通して愛校心や向学心を育てる。
○ その他の工夫……・言語環境の整備 ・道徳的な学習情報の掲示 ・学校や学級の図書の充実 ・美的な情操を養うための環境整備
(3) 家庭や地域社会との連携
道徳教育は、児童生徒の日常生活のあらゆる機会や場において行われてこそ十分な成果が期待できる。
その際、家庭や地域社会における健全育成に関連性と一貫性を確立しておく必要がある。
○ 道徳だよりなどの広報活動
○ 道徳教育推進委員会などの設置と実行性の高い計画立案、実践
○ 道徳の時間の参観や事後の話し合いなど道徳教育についての理解を得る企画
○ 地域での奉仕活動などの実施