教育福島0178号(1994年(H06)04月)-010page

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(研究実践)

平成四・五年度 研究指定校における実践

 

豊かな心を持ち、道徳的実践力のある児童を育成する道徳教育

 

−児童自らが道徳的実践力を培う道徳の時間の指導−

 

梁川町立粟野小学校

 

本校は、平成四・五年度と文部省より道徳教育推進校の指定を受け、標記の研究主題のもとに、道徳の時間と豊かな体験活動との関連に視点を当て、研究に取り組んできた。その研究実践の一端を紹介したい。

一、道徳の時間の指導と実践活動との関連を図った指導

1 関連表の作成と活用

実践活動のねらいを道徳的な観点から明確にし、その期待する児童像をとらえながら、道徳の時間と実践活動との関連、道徳の内容項目と実践活動との関連、さらに道徳の時間と「学級における指導計画」との関連を図り、それぞれの関連表を作成した。道徳の時間の指導が教育活動全体の中で行われ、授業で培われた道徳的実践力が生きて働くものとなるように、その活用を工夫した。

2 事前指導及び事後指導の工夫

道徳の時間の指導が教育活動全体の中で生かされ、道徳的実践への意欲を高める授業を展開するために、年間指導計画と指導案の中に事前指導と事後指導を位置づけた。事前指導〜授業〜事後指導〜次回の事前指導とのつながりを考え、効果的に機能させたことで、道徳の時間の焦点化が図られ、豊かな体験活動との関連も深まり、道徳教育全体が計画的に進められるようになった。

 

学校農園での一人ひとバケツ作業

学校農園での一人ひとバケツ作業

 

二、道徳的実践を促す指導

1 豊かな体験活動による指導本校では、豊かな体験活動の場を「三つの輪の活動」に求めた。「三つの輪」とは、本校のめざす児童像から、

○ありがとうの輪(思いやり、親切)

○なかよしの輪(友情、信頼)

○光る汗の輪(勤労、奉仕)

とし、それぞれの輪の活動内容と推進計画を作成し、計画的に活動が進められてきた。

光る汗の輪の活動の一つとして「一人ひとバケツ運動」を展開してきた。全校児童が自分用のバケツを持ち、勤労奉仕的な活動の時に利用してきた。収穫時には、野菜でいっぱいになったり、拾ったゴミ、落葉、草等でいっぱいになる。又、毎週土曜の朝を「光る汗の日」とし全校生でひとバケツ運動に取り組み、自分の活動の結果の中から、勤労や奉仕の意義を実感し、より意欲的に取り組めるようになってきた。

2 児童の実践意欲を高める手だて

(1) 道徳コーナー(心の広場)の設置

道徳コーナーを設け、「広げよう三つの輪の運動」を展開した。児童の活動の記録や、児童の見つけた友達のよい所などをカードに記入し、自分たちの手で輪を広げさせた。児童の実践意欲の向上や道徳性への意識の高まりがみられた。

(2) つぶやきコーナー(学級掲示板)

学級に道徳コーナーを設け、授業の事前指導や事後指導に活用した。事前では、アンケートの結果や価値に関する課題を掲示、又、事後では、資料、道徳ノート、関連資料等を掲示することで、道徳性への意識の継続化が図られた。

(3) 道徳ノート(つぶやき)の活用

道徳の時間の中で自己を見つめさせる段階で心のつぶやきを書き込んだり、豊かな体験活動後の感想や学校生活の中での自分の心のつぶやきを書き、綴じている。これを随時見返したり、次の授業に生かすことで、自己を見つめる視点にもなり、又、児童の変容をつかむこともできた。

三、今後の課題

1 道徳教育の評価を工夫し、評価に基づいた指導計画や道徳の時間の指導法の改善を図る。

2 道徳的実践の場を、日常生活や学級独自の創意的活動の中にも、計画的に取り入れ充実させる。

3 教育活動全体の中での道徳教育との観点から、豊かな体験活動だけでなく、教科や特別活動等との関連も図り、総合単元的学習に取り組む。

 

 

 


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