教育福島0178号(1994年(H06)04月)-011page
自己を見つめ、心豊かな、たくましい児童を育てる道徳教育
−児童一人一人が主体的にかかわる道徳の時間の指導−
檜枝岐村立檜枝岐小学校
一、研究のポイント
少人数学級・複式学級の特性への配慮及び道徳の時間の興味・関心の喚起、自分を見つめる場の設定、他の教育活動との関連を図った『総合道徳学習』の三点に焦点をあて、実践研究してきた。この結果、新しい道徳教育の方向性がとらえられ総合単元的な道徳の重要性が認識できた。
二、研究の実際
(一) 『総合道徳学習』
道徳の時間と他の教育活動における道徳教育を意図的・計画的に関連づけて指導をすることにより、道徳の時間をより児童主体のものにする。
(二) 『総合道徳学習』の形態
1 一つの内容項目を複数主題で
一つの重点内容項目について、他の教育活動との関連を図りながら、一年間の指導の流れの中で一つのまとまりとして複数主題により指導計画を立て、道徳の時間を中心に指導していく。
2 複数の内容項目を関連づけて
関連価値として取り扱える内容項目について押さえ、二つ以上の内容項目をかかわらせ、他の教育活動との関連を図りながら、道徳の時間を中心に指導していく。
(三) 個を生かす実態把握と興味・関心を高める指導の工夫
1 少人数のよさを生かし、道徳シート、がんばりカード、日記、日常観察などを通して一人一人の実態や学年差を把握し、資料の選択、発問、意図的指名に生かした。
2 授業中、授業後の実態把握により、他の教育活動での道徳教育やその後の道徳の時間に生かした。
3 ぺープサートや紙芝居、音響効果、動作化など五感に訴える指導に努めた。
4 次の項目を教室に掲示し、授業後の自己評価の観点に取り入れた。
◎心を開いて、気づいたこと、感じたこと、考えたことを自由に話し合いましょう。
◎資料の登場人物の心の中と自分の心の中を真剣に考えましょう。
◎友達の話は、どんなことかと考えながら、しっかり聞くようにしましょう。
◎人間のよさや、自分のよいところ、友達のよいところを一生懸命に見つけましょう。
(四) 自分を見つめる場の明確化
自分の価値観を意識したり、他の価値観との比較などをしたりする場として、自分を見つめる1(事前導入時)2(展開前段)3(展開後段)を設定した。
総合道徳学習の指導計画
一つの内容項目を複数主題で総合的に指導実践する場合
三、研究の成果
『総合道徳学習』の中で児童一人一人のよさなどの実感がとらえられ、それを授業の中で「求める児童の姿」として生かせるようになってきた。
また、いろいろな道徳的価値に主体的にかかわることができ、資料の中の登場人物や友達のよさなどの豊かな心との交流を通し、自分のよさの発見や価値観の広がりが見られてきた。
1年道徳の授業より
四、今後の課題
(一) 総合道徳学習をより深めていくために、具体的な全体計画を作成する必要がある。
(二) よさを生かし伸ばす面から、一層、総合道徳学習という広い中での評価を工夫していく必要がある。