教育福島0178号(1994年(H06)04月)-012page
豊かな心を育て、実践力を高める道徳教育
原町市立原町第三中学校
一、主な研究内容
1 道徳の授業の工夫
2 豊かな体験ができる場の設定と自主的・自発的に取り組む態度の育成
3 家庭や地域社会との連携の推進
二、研究実践と成果
1 望ましい人間関係を重視した道徳の授業の工夫
(1) 日頃から何でも言い合える雰囲気づくりに努める。
(2) 生徒の道徳的体験や考え方、行動の特徴など実態把握や生徒理解に努める。
(3) 生徒の多様な経験、考え方に即した意図的な発問や指名を試みる。
(4) 生徒相互の多様な価値観を出し合うことができるよう話し合い活動の進め方を工夫する。
(5) 役割演技、劇化を取り入れた授業の展開に努める。
以上のことをもとに、授業実践に努めてきた。その成果として、モラルジレンマ資料を活用し、話し合いの方法や学習形態等を工夫することにより、生徒は他の人と相談しながら考えるのが楽しくなり、またオープンエンドなので、自分の考えをはっきり述べるようになるなど、今までの授業ではみられない反応を示し、意欲的に授業に参加しようとする姿が見られた。
また、授業に役割演技等を取り入れたので、主人公や登場人物の考え方、生き方に共感し、主体的に価値把握をすることができた。
モラルジレンマ資料による授業
2 豊かな体験ができる場の設定と自主的・自発的に取り組む態度の育成
(1) あいさつ運動
生徒会が中心となり、役員と各クラス一名が毎日交替であいさつ当番に当たった。その結果、上級生と下級生との間に信頼や親しみが深まり、相手に対する感謝の気持ちや、好ましい人間関係が育ってきた。
(2) クリーン作戦
勤労の尊さと奉仕の精神を養い、更に社会の一員としての自覚を高め、郷土を愛する心を育てるというねらいで、国指定重要無形文化財として知られている相馬野馬追祭場地や磐城太田駅の清掃を毎年実施してきたが、回を重ねるごとに自ら進んで取り組むなど自覚が表われてきた。
(3) ふれあい集会
平成四年九月から、毎月第三土曜日に「ふれあい集会」を実施し、生徒や教師の夢、体験談などを聞くことにより相互理解が深まり、望ましい人間関係が育ってきた。
3 家庭や地域社会との連携の推進
(1) 道徳の授業における親子ディスカッション
道徳の授業を生きた教育として家庭へ反映させるために、体験学習の場として設定した。初めは、お互いに遠慮がちに発表していたが、回を重ねるごとに自由な話し合いができるようになり、親子のそれぞれの立場からの考えが出され、親子が、自分たちの生き方、在り方について掘り下げて話し合うことができた。
(2) 教育を語る会
豊かな心を育てるためには、学校内外における一貫した道徳教育の推進を図るとともに、家庭・地域との連携が大切であると考え、各学年ごとにそれぞれテーマを設けたり、日頃考えていることや悩みを話し合うことにより、心の教育の大切さを皆で確かめ合うことができた。
親子ディスカッション(発表会当日)
三、今後の課題
1 道徳の資料の収集と価値の主体的自覚を図る指導法を工夫し、授業の充実に努める。
2 道徳的実践の場を一層工夫する。
3 教師と生徒、生徒相互の豊かな人間関係を一層深める。
4 学校・家庭・地域との相互理解と交流の場をさらに多くする。