教育福島0178号(1994年(H06)04月)-015page

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かかわる機会を積極的に設ける。

○ 奉仕作業の工夫

○ 地域の人材活用の工夫

○ ボランティア活動の推進

○ 工場、職場見学等の実施

(3) PTA活動を工夫する。

道徳教育に関する研修を実施しているPTAは少ない。道徳教育を身近な課題として話し合える機会を設定して、道徳教育の理解を深める必要がある。また、転出入者の多い都市部の学校では、PTA会員としての自覚が深まり難い傾向もあるので、会員の意識を高めるよう、活動内容を工夫する。

2 家庭に期待したいこと

子供の人格形成に最も大きな影響を与えるのは家庭である。日常の家族の言動や後ろ姿から、子供は多くのことを学びとっている。また、「子は親を写す鏡」であると言われるように、保護者の価値観や生活の仕方が子供に与える影響は計りしれないものがある。

保護者や家庭に対して、次のようなことを期待したい。

(1) 基本的習慣を身に付ける。

子供のしつけは家庭で、学習指導は学校でというのが基本であると考える。社会が変化する中、学校教育に対する要望や依存が増大する傾向が見られるが、望ましいことではない。子供が基本的生活習慣を身に付けるよう、保護者が責任をもって日常生活の中でしつけをするよう努める。

(2) 子供のゆとりを大切にする。

子供は、様々な遊びや集団活動を通して、人間関係の大切さや思いやり、さらには人間として守るべき基本的ルール等を学んでいくものである。学校週五日制の趣旨も踏まえ、子供が伸び伸びと遊んだり、集団活動をしたりできる時間的なゆとりを持てるよう配慮する。

(3) 広く学ぶ。

生涯学習社会といわれる今日、私たち大人も、人間としての生き方等について生涯学び続けることが大切である。また、家庭教育学級等、子供の教育に関する学習の場も少なくない。保護者は、こうした機会を積極的に活用して広く学ぶよう努める。

3 地域社会に期待したいこと

各地域においては、公民館等、関係機関が中心となり、子供の健全育成のために努力しているところであるが、地域社会が子供に与える影響の重大さを考慮し、次のような点について一層の充実を期待したい。

(1) 「大人が範を示す」気運を盛り上げる。

大人が路上や公園にゴミや吸い殻を投げ捨てる光景は珍しくない。このような中で、道徳教育を進めることは非常に困難であり、大人自らが子供の範となるよう、各地域において「大人が範を示す」気運を盛り上げる必要がある。

○ オアシス運動(あいさつ運動)の推進

○ 花いっぱい運動の推進

○ ゴミのポイ捨てをなくす運動の推進

○ ボランティア活動の推進

(2) 子供の側に立ち、環境を整備する。

都市部では、子供が自由に遊べる広場などの空間が少なくなってきている。子供同士が自由な発想を生かし、心おきなく安全に遊べる場所の確保など、子供の側に立った環境の整備が望まれる。

○ (子供の側に立った)公園の遊具の見直しと整備

〇 (遊び場としての)広場の確保

 

道徳教育振興会議を終えて

会長 舘 美文

 

平成五年度福島県道徳教育振興会議を県中地区において開催し、「二十一世紀を担う心豊かなでたくましい子供の育成」を目指し、心の教育の在り方について、様々な立場の委員により討議を重ねてまいりました。

昨今、国際化、情報化、価値観の多様化等、社会の変化に対応する教育の在り方が問われております。当地区においても、福島空港の開港、磐越自動車道等の整備が進み、文化や経済がより発展する一方、都市化、核家族化、少子化の傾向が著しくなるなど、子供を取り巻く環境が大きく変化しております。二十一世紀に向かい、新世紀を担う人材として、社会の変化に自ら対応できる、心豊かな人間を育成することが求められており、道徳教育が果たすべき役割は極めて大きいと言えます。

こうした認識に立ち、当地区の道徳教育における課題と対応策について意見を交わし、道徳教育の充実・改善の方策として、「豊かな体験の充実と学校、家庭、地域社会の連携強化」を図り、豊かな道徳性を育成する必要があることを確認したところであります。

私たちは今回の提言を自らの課題として、それぞれの立場で努力してまいりますので、各学校・家庭・地域の皆様にもこの提言を積極的に受け止め、活用していただけますようご期待申し上げます。

終わりに、県内の子供たちの心身の健やかな成長を祈念し、あいさつといたします。

 

 

 


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