教育福島0178号(1994年(H06)04月)-016page

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教育センターから

 

学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究(第1年次)

 

教育相談部

 

一、はじめに

不登校をはじめとする「学校不適応」の問題は、増加の一途をたどり、今や、その解決に向けての対策が緊急の課題となっています。しかも、「学校不適応」の問題は一般化し、児童生徒だれもが不適応状態に陥っても不思議ではない状況にあります。

そこで、本研究では、「学校不適応」の背景にあるさまざまな要因の本質を調査・分析によってとらえ、適切な援助の在り方について、三年間にわたり実証的に研究していくことにしました。

二、主題についての考え方

まず、「学校不適応」については、「学校環境との間に不調和が生じ、本来の自分の個性を引き出せず、自己実現に向かう働きが停滞した状態」と押さえました。次に、援助の在り方に関して、「求めようとする援助の視点」を設定しました。第一は、集団での望ましい関係をつくる「調整」に向ける援助です。第二は、適応する力を育て、学校環境そのものに働きかける能動的な環境と個の「構成」に向ける援助です。この二つの援助の視点を中心にして、適応意識を高めようとするものです。

これらのことを踏まえ、次のような研究仮説を立て、研究を進めていくことにしました。

〈研究仮説〉

 

「学校不適応」の背景にある要因を明らかにし、環境と個の調整及び構成に向かって個性や能力が発揮できるよう援助していけば、学校不適応状態にある児童生徒の適応意識は高まり、自立的な行動がとれるようになるであろう。

 

三、第一年次の研究実践

本年度は、研究の第一年次にあたり、県内中学校二四八校の中から、学校規模・地域等を考慮して二〇校二、〇七二名を対象にアンケート調査を実施しました。この調査は、学校不適応状態にある生徒の実態及び生徒の学校不適応意識、個々人が持つ価値観等を明らかにして、学校不適応に向ける援助の方向性を導き出そうとしたものです。以下、各調査項目による調査結果の一部を示すことにします。

1 学校不適応の状態に関して

不適応状態の傾向を見ると、1)のグラフのような結果が見られます。

「多い」「時々」を合わせてみると、具体的な学校不適応行動として表れている生徒よりも、「意欲がない.」とか「心理的に不安」であるといったような具体的に行動に表れない生徒の割合の方が大きいことがわかりました。この結果から、児童生徒の「ぼんやりしている」「いらいらしている」「いじめられて悩む」状態を的確に把握し、指導援助することが教師側の大きな課題であるといえます。

学校不適応状態を示す割合の大きい順にABC群に分け、以下、群ごとに調査結果を考

 

 

 


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