教育福島0178号(1994年(H06)04月)-019page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

触読の未熟な子どもでも、自分で打った点字の確認が音声によって即時にできるので、点字を打つ楽しさを味わうことができます。

他に、次のような利点も確認できました。

1) 自分で打った文全体を通して読み上げる機能で確認ができる。

2) 点字用紙にも打ち出せるため、触覚によっても確認ができる。

3) 教師がキーボードから同時に援助できる。

4) 六点入力が可能なソフトウェアに対応できる。

以上のことから、この反応入力装置によりコンピュータ活用の範囲が広がるものと考えられます。

A児は、使用してみて「とても楽しい。」と感想を述べていますし、意欲的に取り組んでいる様子がうかがえます。

 

パーキンスブレーラー反応入力装置

(2) 聴覚障害教育

 

(2) 聴覚障害教育

 

【事例2】

文章を書いたり、読んだりすることが苦手な聴覚障害児に、コンピュータを利用して、意欲的に文章表現に取り組ませた事例

 

高等部3年のB子は、手話を使って自分の考えていることを表現したり、相手の手話を理解したりして、コミュニケーションを図っています。しかし、文字を書いたり、文章表現をしたり、文を読んで理解することが苦手でした。当然作文を書くことも、とても嫌がっていました。しかし、コンピュータ(ワープロ)操作そのものは大好きでした。そこで、B子が手話で表現した内容を、コンピュータを通して文章にすることで、「文字(漢字)」そのものに対する抵抗を減らし、意欲的に文章表現に取り組む態度と能力の向上を図ることにしました。

コンピュータの『削除』『挿入』『移動』等の機能を使えば、訂正も比較的容易なことや、画面に表示された漢字を選択すれば容易に漢字仮名交じりの文ができることもあり、B子は、不確かで自信のない『ことば』でもキーを打つようになり、積極的に作文に取り組むようになりました。

(3) 精神薄弱教育

 

【事例3】

コンピュータの操作環境を整備し、学習に必要な興味・関心の拡大を図り、弁別学習へのレディネスを高めた事例

 

C児は、中度の精神薄弱がある小学部2年生です。本児は、落ち着きがなく、学習に必要な注視の持続や集中力に欠けていました。しかし、音楽や人の声には、とても敏感に反応し、音楽が聞こえてくると、聴き入ったり、手拍子を打ったり、口ずさんだりします。

効果音や音楽に対して強い興味・関心をもっていることから、その要素を豊富に含んだソフトウェアを選択し、コンピュータに慣れることから始めました。たくさんのキーが並んでいる標準キーボードでは、実際に使用しないキーが多く、注意が散漫になったり、混乱たりすることが考えられましたので、2点スイッチを作製し、コンピュータヘの入力を可能にしました。本児は、コンピュータを使った学習に興味を示し、注視の持続や学習への意欲的な取り組みが見られました。

しかし、弁別学習に結びつけようとした指導では、画面上の絵や図形とキー操作の対応を把握することが困難なため、タッチスクリーンを活用した埋め込み式ディスプレイ台を作製しました。

 

タッチスクリーンを活用した埋め込み式ディスプレイ台

 

タッチスクリーンを活用した埋め込み式ディスプレイ台

 

次回は、肢体不自由・病弱教育の実践と今後の課題について、報告します。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。