教育福島0179号(1994年(H06)06月)-010page
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た児童生徒本人の性格的傾向などに要因があると考えられがちであった。しかし、登校拒否になった児童生徒をよくみると、その要因や背景は、友人関係、学業不振など、学校生活にかかわること、親子関係をめぐる問題など家庭生活にかかわること、学歴偏重の社会風潮などの社会にかかわること、さらには、家庭や地域の教育力の低下など、学校・家庭、社会の様々な要因が複雑に絡み合っており、本人自身の属性的要因が決め手となっているとは必ずしもいえないケースが多い。
従って登校拒否の対応等については、次のような努力が必要である。
三 登校拒否問題への対応の基本的認識
各学校では年々増加の傾向を示す登校拒否問題に対して様々な努力が.なされているが、次の「基本視点」一認識)を踏まえて対応していくことが大切である。
(一) 登校拒否はどの児童生徒にも起こり得る。
登校拒否は、特定の児童生徒のみに起こるものでなく、児童生徒がある程度共通して持っていると思われる「学校に行きたくない」という意識の一時的な表出として表れることもあり、登校拒否はどの子にも起こりうるという認識で対応することが大切である。
(二) 学校生活上の問題に起因して登校拒否になる場合も見かけられる。
学校生活では友人や教師との人間関係をめぐる問題、学業にかかわる問題、入学、進級などへの適応の問題などが直接のきっかけとなる例が見られる。
学校においては、児童生徒理解を深め、分かる授業、楽しい授業の展開に努めるなど、児童生徒が充実した学校生活が送れるようにするために、学校の教師の一層の努力が望まれる。
(三) 登校拒否問題はかなりの部分を改善や解決ができる。
児童生徒の友人関係、教師との人間関係の改善など、学校での指導の改善や働きかけ、関係機関との連携などの指導・援助の工夫により効果が期待できる。
(四) 児童生徒の自立を促し、学校生活への適応を図る多様な方法を検討する。
児童生徒にとって、単に再び登校できれば良いというのでなく、登校拒否の状況を克服する過程で、登校拒否児童生徒がどのような力を身に付け、いかに成長したかが重要である。
(五) 児童生徒の自立の営みを積極的に評価する。
児童生徒の表情や行動における好ましい変化は、たとえ小さなことであっても自立のプロセスとしてありのままに受けとめ、積極的に評価し、認めていくことが大切である。
四 登校拒否に対する学校としての指導・援助の基本的な在り方
登校拒否問題への各学校における対応では、登校拒否に対する基本的視点(認識)を踏まえ、次のことに力点をおいて指導援助に当たることが大切である。
(一) 学校としての指導体制の確立を図ること
(1) 全教師が登校拒否に対する理解と認識を深める。
(2) 教師間の連絡・協力が円滑に図れるようにする。
(3) 教育相談の機能を充実する。
(二) 学校生活の改善、充実を図ること
(1) 授業内容・方法の改善につとめどの子も生き生きと学習できるようにする。
(2) 学校の集団生活の改善に努め、どの子も所属感をもち、自己を発揮できるようにする。
(3) 集団活動への参加を重視し、どの子も様々な活動の中で成就感や満足感を得られるようにする。
(三) 登校拒否の早期発見で粘り強い指導をすること
(1) 早期発見、即時対応に努める。特に、児童生徒の日常生活行動の様子を観察し、変化を見逃さないようにする。
(2) 登校拒否に陥った子やそれらの様相を示す子に対しては、その原因になるものをさぐりながら粘り強く指導する。
(四) 家庭及び関係機関との連携を図ること
(1) 家庭との連携を密にする。
学校生活の子どもの様子をすべて家庭が知る、というのは不可能であるし、反対に、学校が家庭での様子の全てを知り得ない。
従って、学校から出向いたり、親に学校に来てもらったりするなど、学校、家庭がともに問題を解決するという努力をする。
(2) 関係機関との連携を密にする。
登校拒否に陥るきっかけは、学校生活での影響、家庭生活での影響、本人の問題に大別されるが、それぞれ複雑にからみ合った場合は、専門機関の適切な援助指導を受けることが必要である。
登校拒否の症例も多岐であるから、様々な対応策を講じるためには各種専門機関の援助を得ることが益々必要になると考えられる。
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