教育福島0179号(1994年(H06)06月)-027page
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が、一人がノートを持ってくると、他の二人も先を争うようにしながら、ノートをもって教卓のまわりに並びます。当たっているかな、丸がもらえるかな、と心配そうにのぞき込む児童。ノートを見ながら、さっきの話がわかったかなと不安な私。そんなやりとりを二人の児童がじっと見つめています。
「わっ、すごい。これもできたね。」
丸をつけ始めると、赤ペンの動きを六つの目がしっかりと追いかけてきます。そして、まるで自分のノートに丸をつけてもらったかのように、皆、にこにこしてクラス中が和やかな雰囲気に包まれます。そんな様子を見ていると、粗相をするたびに泣きそうな顔をして友達を見ていたAちゃん、教室だけにとどまらず、学校中を走り回っていた元気なBくん、気持ちがなかなか表情に出てこなかったCさん、三人それぞれが、ここまで落ち着き、やる気を見せるまでになった姿に、この子らの学級担任としての喜びがわき上がってきます。
昨年、養護教育を学んでいる後輩の学生に、養護学校や小学校特殊学級での経験を話す機会を与えていただきました。つたない講議ではありましたが、終了後「初めて聞いた話で何もわからない。これからもっと勉強していきたい。」(一年)「何が子供たちのためになるのか、自分は今何をすればいいのか、真剣に考えていきたい。」(三年)などの感想がでてきました。そして、ふだんの学級の様子を詳しく聞きたい、通常の学級との交流はどのようにしているかなど、次々と質問が出ました。少しでも多くのことを学びたいと、真剣なまなざしで話を聞く学生を目の前にして、私も時間を忘れて話し込んでしまいました。
ハンディキャップがあって生まれてきたけれども、自分の力を最大限のばそうと毎日の生活にがんばっている子供たち。そのような子供たちのために、いくらかでも役立ちたいと真摯な姿勢の多くの学生たち。これらの子供たちや学生たちの純粋な姿を前にすると、日々の指導が惰性に陥っていないか、児童の行動の変容を適切にとらえているかなど、反省するべきことがたくさんでてきます。学級の子供たちや学生たちの純粋な姿に恥じないよう、心が引き締まる思いで今日も子供たちと学んでいます。
(国見町立藤田小学校教諭)
開放講座を教えて
矢森健一
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「先生、半年間でしたが、大変ありがとうございました。」閉講式の後、受講生がその言葉を持って集まって来た。スイッチの入れ方さえ知らなかったS子さん、自分のことをやるよりも、周りの面倒をよくみてくれたI男さん、来年はワープロ検定を受けるんだとはりきっていたK子さん……。修了証書を手にした受講生の顔は、晴れ晴れとしていた。学ぶ喜びを知った充実感が満ちあふれていた。
この講座を受講するまでは知らなかった者同士が、長年の友のようになった。今までの苦労話、来年のこと、別れを惜しむかのように話が続く。最後は、来年もまた、の言葉とともに会場を後にした。この半年は、受講生にとって忘れられないものとなるだろう。そして私にも。
昨年、私は初めて開放講座を教えることになった。担当はワープロ講座。私自身、ワープロを使ってはいるが、人に教えるほどではない。迷ったが、開放講座担当の先生の熱心な誘いもあって引き受けることにした。ワープロ講座の受講生は男三名、女十一名の計十四名。年齢は、二十歳の女性から六十五歳のおじいちゃんまで。志望動機も仕事の為からボケ防止まで多岐にわたっていた。今までこのような幅のある人たちを教えたことはない。不安でいっぱいだった。しかし、ほとんどの受講生が年上ということもあり、和やかな雰囲気のもと始めることができた。
受講生との半年間は、驚かされることばかりだった。まず、その熱心さ。私は覚えが悪いので、と講義が始まる一時間前から来て、課題を黙々とやる受講生もいた。そして、面倒見の良さ。分からない人がいると周りの人がすぐ手助けをする。サークル活動のように講座が運営できた。生涯学習とは、自主的に学ぶのが基本だ。なかなか一人ではできないことも、同じ考えを持つ人が集まるとやりやすくなる。そして、そこ
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