教育福島0179号(1994年(H06)06月)-032page
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にとって有益な人だということが分かり、かかわり手が近づいても逃げないで、側に寄ってくるような関係になることです。
子どもはしっかりした人間関係を足場に行動を広げていきます。不安になったり、次の活動にふんぎりがっかないときに戻ってこれる子どもの生活の拠点にかかわり手がなれることが大切です。
二 いろいろなコミュニケーション
生きていく上で、意思を伝えあうことはきわめて重要なことです。心身障害児の多くは、ことばの発達が遅れがちで、話しことばが出なかったり、幼い感じのする話し方だったりします。
話しことばによるコミュニケーションがスムーズにできないと嘆く先生や保護者もおりますが、健常な大人でさえも、手招きで人を呼んだり、拒否の気持ちを話の内容でなく表情や話し方で相手に伝えるといったように、話しことば以外の手段で伝える場合もあることを忘れてはなりません。相手を分かろうとする気持ちが大切と考えます。
また、話しかけたことに対し、子どもがそれらしい行動をすると、話したことが理解されていると思ってしまいますが、置かれたその場の全体の雰囲気に反応しているかもしれません。注意して見極めることが大切です。
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難聴児の音を聞く訓練
三 困ったことには
子どもは大人に比べものごとに対する興味・関心は高く、さわっていじりまわしたり、しつこく質問したりします。また、周囲の様子や他人とのかかわり方が分からないために、衝突を起こすこともあります。そうした事態の処理を組み重ねながら成長していくのです。「困った、早く治さなくちゃ」とあせっては事態は少しもよくなりません。原因をよく見極め解決策を考えましょう。
四 豊かな個性として
心身障害児が健常な兄弟や友だちと比べられては、劣等感が強まり、意欲を失います。今の状態をありのまま認め、そこからかかわりの在り方を考えていきたいものです。
人間は一人として同じ人はいないのです。他の人と違うことを個性と見るならば、心身障害児は個性豊かな人間なのではないでしょうか。
個性には磨きをかけ伸ばすことができます。たどたどしい話し方をする人も、自分の考えを積極的に述べ、相手を説得しようとする雄弁な人とも受け取れます。心身障害児をどう見るかが後のかかわりと強く関係するのです。
第四章 学校では
元来、子どもに障害があるかないかにかかわらず、教育とは子どもにある型の行動を促したり、その反対に抑制したりする、外部からの援助を意味します。
特に学校においては、次の点に留意して欲しいと思います。
一 全職員で教育を
心身障害児には、他の子どもと同じように活動することが難しいこともあります。指導の責任を学級担任にだけ押しつけるわけにはいきません。学級・学年を越えた全校的指導態勢が必要となります。
担任は同僚の先生に積極的に意見を求め、同僚の先生は担任の悩みに応えるとともに、全職員が心身障害児に興味を持ち、声をかけたり適切な援助をすることが大切です。
二 安心できる学習の場
子どもが生活する学校、特に教室が安心できる場所であることを分からせることは欠かせません。
教室にいるとホッとする人的な、そして物的な環境作りが大切です。これは、心身障害児と教師・友達との関係を調整できるかとともに、心身障害児にあった学習の課題を準備できるかにかかってきます。
三 戸惑う教師も障害者
一口に心身障害児といっても、その障害の種類、程度などは一様ではありません。能力が一人ひとり違いますし、反応の仕方にも個人差があります。個々人の実態に応じて、最も適切な教育の場を確保し、指導援助にあたっては最善を尽くすことが必要です。
心身障害児に初めて接すると戸惑
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