教育福島0179号(1994年(H06)06月)-033page

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いを感じ、教師側から押しつける形で対応したり、手をこまねいて何もしないでいることがあるかもしれません。心身障害児にどうかかわったらよいか戸惑っているという点では、教師の側も障害をきたしているといえます。心身障害児の側だけを問題にしないで、教師のかかわりが、子どもの能動的な行動を認め、積極的に拡大することにつながっていくという視点で子どもに接して欲しいと思います。

 

四 課題について

保護者の希望もあり、課題というと、教師は知的な、あるいは技能的な課題を与えようとしがちです。

せっかく用意したものだからと、無理にさせようとすると子どもはその場面から逃げ出したり、ぼんやりして何もしなくなってしまいます。

子どもの能力を飛び越えないことと、つまずいたときには前に戻る決断を素早くすることが大切でしょう。

教師が与えたものは課題の素材であって、それを子どもが解決しようと決めてやっと課題になることを肝に命ずる必要があります。

 

五 集団参加について

学校教育は集団でなされるという特色があります。心身障害児の場合は、集団の中で自分の役割や位置づけを見いだして活動することが難しいようです。

教師は指導のし易さという観点で、子どもを集団の中に埋没させて動くことをねらい過ぎないよう注意する必要があります。

 

六 家庭との緊密な連絡を

子どもの発達を促し障害を改善したり、豊かなよりよい生活を行うためには家庭の協力は欠かせません。

日頃から、連絡帳や電話、家庭訪問などを行い、心が通い合うようにしたいものです。

今日はこんなことをしましたという連絡だけでなく、日頃考えている指導のねらいや指導の仕方、そして、家族の方々の協力についても感謝することも伝えたいものです。

 

七 友達との関係を大切に

通常の学級には、健常な友達がたくさんいます。彼らが心身障害児に対し誤った考えを持たずに、友達として一緒に活動したり困ったときには助け合うことができるように理解させることが大切です。そのためにも、どのようなかかわり方がよいのかその手本を教師は示していく必要があります。

 

第五章 様々な心身障害児への配慮

ここではへ軽度心身障害児に対する配慮について、簡単に述べます。

 

一 視覚障害児

1 見る力の正しい評価を

弱視児の見る力を過小に評価して、全盲児と同じような配慮をしょうとしたり、逆に見る力を過大に評価して何でも見えると勘違いする人もいます。このような誤った評価が弱視児の大きな精神的負担になる場合が少なくありません。弱視児の見る力は個人差が著しいので、一人ひとりの見る力をできるだけ正しく把握することが大切です。

2 視力の活用を

弱視児は視力は弱いけれども、それを十分に活用できるという点を考慮に入れてください。

3 座席は対象がよく見える位置に

教室での机は最前列の中央に位置付けたり、実験や観察に際しては近くで見せたり、暗かったりまぶし過ぎないようにする配慮が必要です。

 

二 聴覚障害児

1 話しかけよう

聴覚障害児というだけで、話しかけるのをやめてしまう人がいます。

次の点に注意して教師の方から積極的に話しかけてみてください。

1) いつも話す人の顔全体、特に口元がきちんと見えるようにする。

2) 必ず声を出して話す。唇だけ動かして声を出さないとか、大声を張り上げたりすることはやめましょう。

3) 話しかけるとき、口の形を誇張したりせず、心もちゆっくりと話す。

4) 話の途中で、時々、理解しているかどうかを確かめるようにする。

2 よい聞き手になって

1) 子どもに話すことを促し、話をじっと聞いてあげましょう。

2) 子どもの話しかけを無視したり、すぐに批判や訂正をしたりしないで下さい。

 

弱視児の漢字の書き取り

弱視児の漢字の書き取り

 

 

 


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