教育福島0180号(1994年(H06)07月)-013page

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迷い、友達と話し合ったり磨き合ったりして目標に向かっていく。そのような一連の活動の中で、思考力、判断力、表現力が育まれ、伸びていくのである。その際、それまでの学習で身につけた知識・理解、技能などをフルに活用して、思考、判断、表現することによって、また新たな知識・理解、技能を身につけていく。

こうした学習の過程の中で達成感や満足感を体験した子供たちは、学習意欲がさらに高まり、知識・理解をさらに深めるための発展的な学習に取り組んだり、技能を高めるための練習活動に積極的に取り組んだりするようになる。さらには、新たな課題への興味・関心を呼び起こし、追求のための意欲や態度を高めていくようになる。このような循環する一連の活動によって基礎的・基本的な内容は定着し、自己実現していく力となっていくのである。

 

3 授業の改善・工夫

わかる授業を展開し、さらに基礎的・基本的な内容が定着するために次の点から授業を見直し、改善しようとする努力が必要である。

(1) 主体性を高める授業

子供たちの”わかりたい””できるようになりたい”という願いや要求を満たす手だてや場の設定を工夫し、それらを通して主体性を高める授業の創造に努める必要がある。

ア 内発的な学習意欲を喚起し、持続させるために次の点に留意する。

(ア) 学習への動機づけの工夫

(イ) 多様な学習活動の工夫や学習の場の設定

(ウ) 成就感、達成感の体得

(エ) 真剣に学習に取り組める雰囲気の醸成

(オ) 適切な評価と一人一人のよさを生かす配慮

イ 子供たちが自ら学んでいくための学習の手順や方法等「学習の仕方」を発達段階に応じて身につけさせていく。

ウ 一単位時間の指導目標を明確にし、指導すべき内容を精選するとともに、思考力、判断力、表現力を駆使して取り組むことができる学習活動を工夫する。

エ 「知識・理解、技能」の定着のための練習活動やまとめの活動を効果的に取り入れる。

オ 子供たち一人一人のよさや可能性を認め、愛情をもって接し、支援するなど主体性を支える児童生徒と教師の信頼関係を確立する。

(2) 個性を生かした授業

子供一人一人の考え方、判断の仕方や言動の中に様々なよさを見い出すことができる。そうしたよさを一人一人のもっている個性であるととらえ、それを生かす授業を展開していく必要がある。

ア 一人一人の個性をとらえる視点

一人一人の個性は、主体的な活動を促し、その活動を支援していく過程でより的確に把握できるものである。

(ア) 興味・関心、−意欲、態度

(イ) 認知の仕方

(ウ) 学習内容の達成度、到達度

(エ) それまでの学習経験や生活経験

イ 授業実施上の配慮事項

個性を生かすためには、自分の意志や感情を自分なりに表現する場を意図的に設定し、多様な学習活動を展開する。

(ア) 指導方法、学習形態の工夫

個に応じた柔軟な指導や支援に努め、学習のねらいに応じて、一斉、グループ、個別などの学習形態を適切に取り入れる。

(イ) 自己活動の場を広げる

ノートをとる、作品を作る、調査活動をする、練習をするなど能動的な自己活動を設定する。

(ウ)教材の工夫

学習の手引、ワークシートなどを工夫し、子供一人一人が自分のペースで積極的に学習に取り組めるよう配慮する。

 

四 道徳教育の充実

 

新しい学力観に立つ教育においては、児童生徒一人一人が、人間としての生き方について自分の考えをしっかりもち、自分のよさを生かして豊かな自己実現を図っていけるようになることを目指している。

新しい学力観に立つ道徳教育を一層充実させていくために、教師は児童生徒がよさや可能性を生かして自己実現が図れるよう支援する姿勢をもつことが必要である。

このような教師の姿勢をもとに道徳の時間はもとより、学校の教育活動全体を通して、児童生徒一人一人の道徳的価値の内面的な自覚を図るとともに、それらを行為として実現しようとする意欲や態度を育てていくことが大切である。

具体的には、次の四点について十分配慮しながら道徳教育を推進する必要がある。

 

1 児童生徒のよさを生かした道徳教育の計画

各校で作成される道徳教育諸計画は、学校教育全体で行う道徳教育や道徳の時間の指導の指針となるものである。それは全教員が参画して作

 

 

 


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