教育福島0180号(1994年(H06)07月)-049page

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博物館ノート

 

『医学関係資料』

 

今回紹介する医学関係資料は、(財)白楡会総合会津中央病院から昨年七月に当館に寄託された医療・製薬器具九十八点と医学書類一五八点である。医療・製薬資料と一口に言っても、その内容はバラエティーに富むが、ここではそのうちから興味深い三点の資料を紹介しよう。

まず、「会津人参図」は会津名産の薬用人参の図である。そこには、一年生から五年生までの成育の様子が描かれている。会津藩での薬用人参の栽培は、十八世紀初めの享保期に始められ、江戸時代を通じて藩の専売で、自由な販売は許されていなかった。自由販売が許可されたのは、明治時代になってからであった。現在のところ、薬用人参の資料は豊富とは言えず、この人参図はたいへん貴重な資料と言えよう。

次は、ガラスの本体に細長いゴムの吸い口が付いた「金太郎印哺乳瓶」である。一九〇三(明治三十六)年六月三日付の『福島民報』に、同型の哺乳瓶の広告が掲載されていることから、この時代に製作されていたと推定できよう。

手術器具セットは近代の物である。引き出しのなかには、メス類のほかに義眼も入っており、眼科で用いた物と思われる。

こうした医療・製薬売薬関係資料は、本年七月二十三日(土)から九月十八日(日)までの間、当館で開催される企画展「げんき・病・元気」で展示される。

 

会津人参図

会津人参図

 

手術器具セット

手術器具セット

 

哺 乳 瓶

哺 乳 瓶

 

 

 


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