教育福島0181号(1994年(H06)09月)-009page
学級活動の計画と他の教育活動の関連性が不十分なものがある。
イ 校内の指導体制が確立されているか
学級担任や進路指導主事の役割について一層共通理解を図る必要がある。
ウ 進路先選定中心の指導になっていないか
進路指導の本質である「生き方の指導」が十分 になされていない場合が多い。
工 進路指導についての評価が十分になされているか
進路先の結果に対する評価に止まっていることが多い。さらに、生徒の姿にみる特徴的な問題点として次の点があげられる。
ア 自分の興味・関心の方向や能力・適性について十分理解していない
職業生活や社会生活などの幅広い知識に基づく将来の生き方の多様性、選択可能性についての理解が不十分なため、将来就きたい職業や活躍したい分野など、中学生にふさわしい将来の夢や希望、目的をもっていない。
イ 将来の夢や希望が高まっていない
何のために、何を高等学校で学ぶのかといった進学の意義や目的を理解できず、自分の進学したい高等学校が明確でない。
ウ 進学先選定が自分の判断によっていない
目的が希薄なため、教師が勧める高等学校に進学するので、高校生活に打ち込めるものを見出せず、学業不振や学校不適応に陥り、中途退学したり、学校外の生活に楽しみを見出すなどして高校生活を無為に過ごしたりするものも少なくない。
3 解決のための指導の転換
以上のような問題を解決するため、各学校においては自校の進路指導を抜本的に見直し、指導の転換を図る必要がある。そのためには、教師自身が進路指導のあるべき姿についての理解を深めるとともに、自校の進路指導の問題点を明らかにして、具体的な転換の視点を定めなければならない。
そこで、「中学校進路指導資料第2分冊」(文部省平成五年)が示す次のような視点を基本として指導を見直し、指導の転換を図る必要がある。〈指導転換の基本的な視点〉
ア 学校選択の指導から生き方の指導への転換
生徒が、将来の生き方について多様な選択が可能であることを理解し、自己の進路を探索できるよう指導一援助すること
イ 進学可能な学校の選択から進学したい学校の選択への指導の転換
生徒が、将来の生き方に照らして、上級学校で学ぶ意義を理解し、目的を持って進学したい学校を選択するよう指導・援助すること
ウ 一〇〇%の合格可能性に基づく指導から生徒の意欲や努力を重視する指導への転換
生徒が、具体的な志望校を選択するに当たっては、日頃の学習の成果等に基づいて助言し、志望の実現に向けて努力する過程を指導・援助すること
工 教師の選択決定から生徒の選択決定への指導の転換
生徒が、進学志望校の選択を含め、将来の生き方を自己の意志で選択し、自分自身で責任を負うことができるよう指導・援助すること
全体計画の形式の例