教育福島0181号(1994年(H06)09月)-031page
特集 3
生涯学習と学校
生涯学習課
学校開放講座「パソコン入門」平商業高校
1 はじめに
文部省は、昭和63年度版我が国の文教施策の冒頭において「我が国が、21世紀社会を展望し教育改革を推進するとき、基本的な課題は生涯学習社会を実現することである。」ということを述べ生涯学習の重要性を指摘しました。
また、平成3年の中央教育審議会答申では生涯学習における学校の役割が述べられ、平成4年の生涯学習審議会答申では、学校の生涯学習への積極的な取り組みが強調されました。
県教育委員会では、平成5年3月に県の新長期総合計画「ふくしま新世紀プラン」の部門計画である第4次福島県長期総合教育計画(平成5年度〜平成12年度)を策定し、生涯学習振興計画、学校教育基本計画、文化振興計画、体育・スポーツ振興計画の4つの個別計画において、それぞれに生涯学習の重要性を述べています。
また、生涯学習の必要性が高まってきた社会的背景として平成4年の生涯学習審議会答申では、次の諸点を挙げています。
(科学技術の高度化)
目覚しい科学技術の高度化は、人々の生活環境を大きく変化させており、絶えず新たな知識・技術への対応が必要となってきている。
(情報化)
マス・メディアの発達やコンピューターの普及ファクシミリ、パソコン通信、衛生通信などの新しい情報通信ネットワークの発達など情報化の発展は著しく、人々は多様なメディア情報に主体的に対応し活用する能力を求められている。
(高齢化)
我が国の高齢化は急速に進んでおり、このことは、年齢を問わずすべての人にわかる事柄であることから、生涯に渡ってこの問題への理解と心構えをもつことが必要となってきている。
(価値観の変化と多様化)
生活水準の上昇、自由時間の増大、教育水準の向上などを背景として、者の豊かさから心の豊かさがもとめられるとともに、価値観が多様化し、生涯を通じての生きがいや自己現実など、人間性豊かな生活を求める意識が高まってきている。
(男女共同参画型社会の形成)
女性の社会進出が進む中で、男女の固定的な役割分担意識を改め社会のあらゆる分野に女性が参画できるよう、条件整備を図っていくことが求められている。
(家庭・地域の変化)
都市化、工業化、核家族化、少子化に伴う家庭や地域社会の変化の中で人間形成の基礎を培い生活を支えている家庭や地域社会の基盤の弱体化が危惧されており、その機能を回復し充実させていくことが必要となってきている。
このような社会的背景を踏まえ、生涯学習社会の実現へ向けての学校の役割等について述べてみたいと思います。
2 生涯学習社会の形成
(1) 生涯学習とは
わたしたちは、学校での教育と並んで、家庭や地域、職場など日常生活のいろいろなところで、生きがいや楽しみを見い出したり、新しい知識・技術を身につけるなど、いわゆる「生涯学習」を行っています。