教育福島0181号(1994年(H06)09月)-032page
総理府が行った調査(平成4年度)によると、全体の約3分の2の人々が、「生涯学習」ということばを知っていると答えていますし、また、本県で実施した県政モニターアンケート報告でも、87%の方々が「生涯学習」ということばを知っていると答えています。
確かにことばとしての「生涯学習」は定着したといってよいと思います。
しかし、その一方で「生涯学習の意味がよく分からない」、「生涯学習と社会教育の違いが分からない」ということも耳にします。
確かに、いわゆる「生涯学習振興法」を含め、「生涯学習」ということばは、どこにも定義されておりません。様々な意味で使われていると思いますが、生涯学習は、わたしたち一人ひとりが、自己の充実・啓発や生活の向上を求めて、各人の自発的意思に基づき、必要に応じて自己に適した手段・方法を自ら選んで、生涯を通じて行う学習と言えると思います。
また、生涯学習は、人々が生涯にわたって知識、技術、態度を開発し養うことを意味しますし、家庭、学校、公民館、カルチャーセンター、職場およびマスメディアなど、その実施の場所や方法にかかわりなく、これらおよびその他の可能な教育資源を利用して行われる個人的および集団的な学習活動のすべてを含むものと考えられます。
(2) 生涯学習社会とは
生涯学習社会とは、生涯にわたって、個性的で、いろいろな生き方が尊重されるとともに人生の各時期における学習の需要を踏まえた多様な質の高い学習機会が提供されている社会であると言えます。
この「学習機会」とは、生涯学習を支援する一連の活動やプログラムの全体を指すもので、このような生涯の学習活動を促進する資源や学習機会をシスティマティクに整備した社会が生涯学習社会と言えます。
また、生涯学習社会においては、学習者が学習の喜びが味わえるとともに、いつ、どこで学んでも個人が学んだ学習歴、取得した資格、専門的技能などの成果が適切に評価されることが必要であると思います。
このような社会の創造を図るため学校の果たす役割には大きいものがあります。
3 生涯学習と学校の役割
学校は、人間として調和のとれた人格の完成と国家、社会の形成者の礎を築く極めて重要かつ有効な教育機関です。と同時に社会人・主婦・高齢者など幅広い人々の学習ニーズにこたえて、多様な学習機会を提供するうえでも重要な機関であり、生涯学習を振興していく上で地域におけるオピニオンリーダーとして、積極的な役割を果たすことが期待されています。
特に生涯学習社会の実現に向けては、次の二つのことが重要と考えられます。
第一は、人々の生涯学習の基礎を培う必要があります。人々が生涯にわたって学習を続けていくためには、生涯学習の基盤を培うことが不可欠です。特にこれからの初等中等教育においては、基磯・基本を徹底し個性を生かす教育を更に充実させるとともに、自ら学ぶ意欲や社会の変化に主体的に対応できる能力の育成等を重視する必要があるといわれています。
これらの事項については、これまでも教育課程の基準の改訂や各学校における指導の中でも重視されてきたことであると思います。平成元年の学習指導要領の改訂では、1)豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を図ること、2)自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力を育成すること、3)国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視し、個性を生かす教育の充実を図ること、などを基本方針としていることは今更記すまでもありません。
この学習指導要領は平成4年度より逐次実施されていますが、今後はその趣旨を各学校において実現していくことが必要であるといえます。
県では生涯学習推進本部が主唱者となり、平成4年9月よりスタートした学校週5日制を契機に、毎月の第2土曜日を「ふくしま・フレッシュ・ふれあいデー」(3Fデー)とし、この普及活動を展開することにより地域に根ざし世界に伸びる人づくりと、豊かな生涯学習社会の創造を推進していくこととしました。生涯学習は人々が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、これに必要な積極的な意欲・課題発見や課題解決の能力等の基礎は、青少年期の学校教育と学校外における多様な生活体験・活動体験があいまって、総合的に形成されていくものと考えられます。そこで3Fデーに於いて、子供たちが行う1)家族とのふれあい、2)地域の人々とのふれあい、3)自然とのふれあい、4)文化・スポーツとのふれあい等を深める活動を支援するとともに、3Fデーの趣旨の理解を深めるための各種広報媒体や街頭キャンペーンによる普及・啓発、3Fデーの趣旨に賛同する関係