教育福島0181号(1994年(H06)09月)-040page

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教育事務初発

 

〈わたしの学校・ぼくらの活動〉

会津教育事務所

〒965会津若松市追手町7−31

TEL(0242)29−5200(代)

 

国体クリーンアップ作戦〜鶴ヶ城二の丸付近〜

国体クリーンアップ作戦〜鶴ヶ城二の丸付近〜

 

大自然の懐こ抱かれながら、感動体験の少ない子どもたち。そんな子どもたちに、進んで自然こ目を向けることができるようになることを願い、小さな生き物を通して、感動体験を企画した。

チョウの研究家角田伊一さん(本町教育委員会教育委員長)の協力を得て、子どもたちこ自然の大切さ、小さな命の尊さを理解させるために、「ギフチョウの羽化」を観察させることこした。

四月十九日(火)三・四校時、全校児童四十名は、学校の近くの大林公園に集まった。

講師の角田伊一さんは、ギフチョウについての説明をしてから、冷凍保存してあるギフチョウの蛹二、三個を各班に配り、カタクリの群生している花の中にギフチョウがはい登れるように棒を立て、「じっくり観察するように。」と指示された。

 

・ギフチョウは、岐阜県で最初に発見されたので、この名がある。

・幼虫は、コシノカンアオイを食べ蛹のまま十か月間越冬し、翌年四月の桜の開花期と同時に羽化する。

・ギフチョウは、二十日間の命でカタクリやスミレの花で吸密する。

・黄、黒、藍、榿、赤の五色で彩色された翅は、あざやかで美しく、「春の女神」と呼ばれている。

・本県では、西会津町、三島町、金山町、只見町に分布している。

「あっ、動いた。」「かえったー。」午前十時五十分、突然蠕が動きだし、背中に亀裂が生じ、黒地に鮮やかな黄の翅と黒褐色の胴体が現れた。ギフチョウの羽化が始まったのである。そのチョウを棒にはわせると、スルスルと棒のてっぺんに登って止まる。そこで次第に翅を広げ始める。完全に広げて飛べるまで三十分以上かかった。小さな生命ながら飛ぶまでに全エネルギーを使うからである。

各班からの踊が次々と羽化し始め、あちこちから感動の声が公園いっぱいに響きわたった。「たった二十日間しか生きられないのに、こんなにも一生懸命頑張って生まれてくる姿に感動しました。生命の神秘さを感じました。」(K男)「二頭とも誕生日が四月十九日だということに気付きました。りっぱに飛んでくれてありがとう。」(H子)

驚きと感動を覚えたこのすばらしい体験を機会に、−子どもたち自ら、.自然に目を向けることを願っている。

 

〈羽化したギフチョウとカタクリの花〉

〈羽化したギフチョウとカタクリの花〉

 

〈羽化したギフチョウとたわむれる子どもたち〉

〈羽化したギフチョウとたわむれる子どもたち〉

 

 

 


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