教育福島0182号(1994年(H06)10月)-007page
スポーツの技術分析や指導方法などを研究する「スポーツ運動学」が専門。大学での教育・研究活動のかたわら、体操競技のコーチとしてジュニア層から大学生までの指導にあたり、男子体操競技の国際審判員、並びに日本体操協会科学研究部員などをつとめながら、スポーツ指導の最前線で活動している。
さらにスポーツ選手のメンタルトレーニングに関しても、ヨーガを中心とする東洋的手法を導入した指導法で、多くのトップスポーツ選手にメンタルトレーニングの指導を行い、成果を挙げている。
〔主な指導例〕
プロ野球 横浜ベイスターズ 一、二軍
日本ハム 白井一幸内野手、中島輝士内野手
大学野球 駒沢大学野球部
高校野球 仙台育英高校野球部
プロゴルファー 横島由一プロ 古山聡プロ他7名
マラソン 松田千枝選手(資生堂)
エアリアルスキー 横山岳男選手(全日本チャンピオン)
水泳 春名美佳選手(200mバタフライ日本記録保持者)
著書には、専門の器械運動の本以外に、「スポーツ上達の基礎理論」(自由現代社)、「ゴルフのメンタルトレーニング」(大修館書店)、「野球のメンタルトレーニング」(大修館書店)などがある。
一九九四年四月より、福島県競技力向上対策本部専属アドバイザーに就任。
とわたりあえるような意識を持たせることが急務である。すなわち自己意識の変革である。
森羅万象あらゆるものが時々刻々と変化している。飛ぶ鳥を落とす勢いだった企業が、古い体質に頑迷に固執するがゆえに、またたくまに凋落していくことなど少しも珍しいことではない。ところが人間は、なぜか変化を恐れる傾向がある。たとえばわれわれ指導者は、今まで慣れ親しんだ指導法を最新の合理的な方法にさっと変えることができるだろうか。ほとんどの人にとって、これは容易ではない。たとえ、その変化が勝利や成功への道だとしても怯えるのが一般である。さらに年を取ればとるほど、経験を積めば積むほど、変化に挑むことは難しくなる。しかしそれでは進歩は止まる。
それならどうすれば積極的に変化に挑戦できるのであろうか。私の知人でありテニスのメンタルトレーニングの世界的権威であるジム・レアー博士は、一昨年、福島大学で講演した折りに、次のような示唆に富む言葉を残してくれた。彼は六時間にわたるセミナーを、「偉大なるプレーヤーは偉大なるアクター(俳優)である」という言葉で結んでいる。レアーによれば、チャンピオンとは、チャンピオンになってからその意識を持つ人をいうのではない。勝者をめざした長年月の修練の時から、たえずチャンピオンの意識と自覚を持って練習し生活していく人だけが、最終的なゴールに到達できるのだというのである。
来るべきふくしま国体に向けて、大いなる意識の改革のすすめを私の提言としたい。
テニスのメンタルトレーニングの世界的権威ジム・レアー博士夫妻と共に(1992.11.21 福島大学にて)