教育福島0182号(1994年(H06)10月)-010page
らいとなる。
3) 弱視の場合の指導内容
通級による指導の内容は主として視覚認知、目と手の協応、視覚補助具の活用等の指導が中心となる。算数・数学の図形に関する指導や社会科の地図指導等、視覚的な情報収集や処理の方法を指導しなければ効果的に学習活動を行うことができない教科内容については、補充的な指導も必要となる。
4) 難聴の場合の指導内容
難聴児の指導については、保有する聴力の活用が優先される。保有する聴力の活用に当たっては、まず補聴器を適切に装用する指導があげられ、次いで、聴能訓練として聴く態度の育成、聞き取りの練習、音声の聴取及び弁別の指導等が必要となる。
また、言語指導に当たっては、日常の話しことばの指導、語い拡充のための指導、言語概念の形成を図る指導、日記等の書きことばの指導等があげられる。
いずれの場合においても通級による指導は、個別指導を中心とし、必要に応じてグループ指導を組み合わせることが適切である。また、視聴覚機器等の教材・教具を有効に活用し、指導の効果を高めることが大切である。
(3) 指導に係る授業時数
指導に係る授業時数は、心身の障害の状態の改善・克服を目的とする指導は、週1〜3単位時間までを標準とし、当該指導に加えて心身の障害に応じて各教科の補充指導を行う場合には、おおむね合計週8単位時間以内とされている。
(4) 教育課程の手続き
1) 在学校及び通級指導校の校長は、市町村教育委員会より通知を受けたときは、当該児童又は生徒に係る教育課程の編成について、協議を行う。
2) 通級指導校の校長は、当該児童又は生徒に係る当該学校における指導内容及び指導時間を在学校の校長に通知する。
3) 在学校の校長は、速やかに当該児童又は生徒に係る特別の教育課程を編成し、教育委員会に届け出る。
〈指導要録の記入の仕方〉
在学校での指導要録には、次のような記載をする。
(1) 指導要録の様式2(指導に関する記録)の「指導上参考となる諸事項」の欄に、通級による指導を受ける学校名、週当たりの通級による指導時数及び指導期間を記載する。
(2) また、通級指導校からの通知に基づき、通級による指導の内容や指導の成果に関しては、必要に応じて指導要録の様式2(指導に関する記録)の同欄に記載する。
〈学校の留意事項〉
通級による指導にかかわって、当該学校が留意しなければならない事項は、次の通りである。
(1) 通級時間にかかわる取り扱い
通級に伴って生じる早退・遅刻・欠課等は、すべて「出席」として取り扱う。
(2) 通級途上の事故等は、状況により在学校長、通級指導校長が連携を取って処理し、日本体育・学校健康センターに対する請求等は、在学校長を通じて行うものとする。
(3) 他校通級に要する児童生徒の交通費については、特殊教育就学奨励費の対象となる。
(4) 教育上の配慮
1) 通級による指導の週当たりの授業時数は、負担過重とならないように配慮する。
2) 通級により、特定の教科・領域が年間を通して全部欠けることがないように配慮すること。
〈保護者への周知事項〉
通級指導の開始にあたって、次の事項について周知する。
(1) 各通級指導校のきまりをよく守ること。
(2) 予定の時刻に遅れたり、欠席する時には、必ず連絡すること。
(3) 通級によって欠ける授業は、出席扱いになること。
(4) 在学校及び通級指導校の両担任と連絡を取り、家庭教育でも協力すること。
5 就学指導体制の整備
通級による指導が適切に行われるためには、その対象となる児童生徒の早期発見と保護者の理解を得ることが大切である。また、通常の学級での指導を受けられることが可能な軽度の障害が対象であることを十分考慮した就学指導が必要である。この
難聴学級の音を聞き取る学習