教育福島0182号(1994年(H06)10月)-026page
PTA連合会研究大会が開催されました。
時期的に田島祇園祭と湯野上温泉祭とが重なり、参加に対する不安がありました。しかし、ここ数年の教育改革の大きな流れを感じてか、今までのただ参加すれば良いという意識から、我々親も学習し教育改革の流れに対応し先生方と協同して教育に当っていくという考えに変わり、活発な発表、意見等で大会が盛大のうちに終わることができました。
その中でも学校週五日制に伴う月一回休業日の中での家庭教育について、学校週五日制を活用して諸活動へ積極的に参加している発表がありました。
車のハンドルに遊びが必要なことと同じように、人間にも遊びが必要であると思います。ここでいう遊びはプレイの遊びではなく「ゆとり」の遊びです。
私も中学校時代から現在まで剣道を修業していますが、剣道でも同じことです。相手と対峙した時、自分自身の剣先の構えと心の構えに「ゆとり」がないと相手の剣の動きが見えなくなり、まして心の動きも読めなくなり、一瞬の隙を逃がしてしまいます。緊迫した中にもゆとりが大切なのです。
ゆとりの時間を確保し、その中で「自ら学ぶ意欲と主体的に考え判断し行動できる能力を育成する」、そして、新しい体験や生き方を求めることが学校週五日制のねらいだと思います。
今後、月一回から二回の週五日制が実施されようとしていますが、人間が平等に与えられた一日二十四時間の時間を上手に利用し、学校教育と家庭教育に「ゆとり」を持って生活していくことの大切さを、今回の研究大会の発表で感じました。
高校入試制度の改正を初め教育界において変動の大きい時代の中で、子供と親にとっても手探りの選択を迫られている状態で、唯一学校週五日制の実施により親と子が話し合うことのできる時間が多くなったように思われます。
今後は一層子供たちの心の内面に触れ、一緒に将来のことを話し合えるような親と子の家庭でありたいと願っています。
(南会津郡PTA連合会)
今が勝負!
菊地藤佳
私が教職に就きたいと思ったのは小学生の頃であった。担任の先生が大好きで、その先生のようになりたいと子供心に漠然と感じていたのを覚えている。教員採用試験に合格したことを真っ先に報告したのも、やはりその先生にであった。
その時、
「三十が勝負だよ。いっぱい勉強して蓄えなさい。」
と忠告して下さった言葉が、いつも私の心の中に響いている。
当時の私の解釈では、「三十までが勝負。」と感じていた。けれども、いざ始めてみると月日はまたたくまに過ぎてしまった。一人暮らしのアパートでなかなか書き上げられない指導案を見つめて朝を迎えたこと。先輩の先生がこともなげに「こう質問するでしょう。そうすれば、子供はきっとこんなふうに答えるよね。」と、まるで目の前に子供がいるかのように発問を整理していく様子。一年目のできごとは今でも走馬燈のように頭の中をかけめぐる。
そして、十年。先生のあの言葉は「教師として生きていくためには、三十代に何ができるか。」という意味の言葉であったに違いないと思う。そうでなければ、今の私にはあまりにも蓄えがなさすぎる。
実際に、三十代は多くのことを学び、学ばなければやっていけない時でもある。一生懸命やればそれでよいわけではなく、三十代にはそれなりの責任や義務、期待されるものがあるように感じる。
先日、駅前を散策していると、向かい側を歩いてくる二人の女子高生が私を見て、小声でおしゃべりし、微笑みかけてきた。ちょっと首をかしげて見つめ、そして、その二人が五年前の小学校六年生だったことに気づくまでそう時間はかからなかった。「私がわかった?」
と問いかけると、