教育福島0182号(1994年(H06)10月)-044page

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研究実践

 

平成4・5年度 文部省指定研究

 

基礎的・基本的事項の定着を図るための指導計画・指導方法の改善

−生徒の意欲を育み、基礎学力の向上を図る指導内容の工夫と実践−

 

福島県立須賀川高等学校

 

一 地域および本校生の特色

本校は創立八十六年、普通科十五学級、商業科十二学級、計二十七学級の大規模校である。須賀川市は商業都市であったが、ベッドタウン化しつつある。

これまで、かなりの長期にわたって、各中学校の生徒の上位層が流出し、低落現象に悩んできた。じり貧状態から脱却し、学校全体の活性化を図ることが積年の課題であった。

リーダーになる生徒が減少し、進路意識も希薄で、漫然と通学している者が多くなっている。しつけや将来の指針などを積極的に与えている家庭もさほど多くはない。しかし、全体的に素直でおとなしい。

このような生徒の意欲を引き出し活気に満ちた授業を展開し、基礎学力を身につけさせることが課題である。

幸い部活動には全体の半数が入部し、活発に活動している。特に運動部は、ほとんどの部が地区大会を突破して県大会に出場し、実績を上げている。文化部は、いくつかの部が目覚ましい成績をおさめている。

二 研究主題設定の理由

昭和五十年代後半から学区改編等の影響で広い地域から生徒が集まるようになった。そのことで、不安定な集団となった生徒が指導上の問題を多発させた。対策が遅れたために地域のひんしゅくをかう時期が続いたが、平成に入ってからは、教師集団の一致した努力で、指導対象の生徒は減少していった。しかし、本校も他の周辺校と同様に生徒の学力低下を免れることはできなかった。低落を続けた生徒の学力はさまざまな努力にもかかわらず、容易に回復することなく、大きな課題として残されてきた。

本校では、五年に一度、生徒意識調査を実施し、生徒の生活の実態と意識の変化を追い分析、研究している。生徒指導については、とかく教育論の空転に終わりがちの理論重視の指導から、遅刻・欠席・早退等の指導や服装の正常化等の分かりやすく実行可能な形を整える指導すなわち「形から入っていく指導」を重視して行ってきた。形が整うことによって、心も整うようになり、生徒たちは、落ち着きを取り戻し一定の成果が上がるようになってきた。

このような経緯を有する本校の教員が捉えている「基礎・基本」はおよそ次のようなものであった。つまり、第一に「基本的な生活習慣の確立」次に「基礎的・基本的事項を理解するための基礎的知識や技能」、「興味・関心・意欲」である。一方、生徒意識調査の結果(普通科)によると、「不得意科目」と「進路」に関する悩みがそれぞれ三十%を越えている。また、教科に興味をもてない理由としては、「進度の速さ」と「内容の難しさ」が上げられ、合わせて五十%近くになっている。

そこで、本校生の「基礎・基本」を確立していくために、授業態度を良くすること、家庭学習時間を増加させること、教師と生徒の人間関係を良くしていくこと、の三点について共通理解を図り、全体の研究を推進していくことにした。

各教科においては、それぞれの教科の基礎的・基本的事項を検討し、指導内容の精選と構造化を図り、生徒が興味・関心を持って意欲的・自主的に参加できるような授業方法の工夫と改善を図った。基礎学力テストを実施して基礎的・基本的事項の定着度を確かめ、次の授業に生かした。「生徒が主体的に活動する展開を心がけ、表現力、発表力をつけるよう努めた。また、授業研究を定期的に行い、指導技術の向上に努めた。

三 研究体制及び組織

研究が組織的、機能的に進められるよう研究推進委員会を設置し、図のような組織で研究を進めた。

四 研究実践の成果

(一) 教務部

研究内容を「自主学習の確立」と

 

 

 


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