教育福島0182号(1994年(H06)10月)-045page
「自習時間の充実」に絞り、次のような方法によって自習時間の充実を図った。自習時間で課題の用意がない場合に備え、各教科で基礎学習事項をプリントし、共通課題として用意しておく。自習課題を生徒が自分の力で解答できるものとするために課題の内容だけでなく、解答方法についても工夫した。
監督者が他教科の場合は、直接指導に当たらないのが通例だが、普段の授業同様に自習課題の事後指導も大切である。その初期活動として、必要な教科は解答を用意したり、点検指導を励行した。「自習時間の充実」の成果の測定は難しいが、職員アンケートの結果から見ると、わずかながら成果があったとみなして良いと考えられる。
(二) 進路指導部
進路意識調査を実施して生徒の実態を把握した。十年前の調査と比較すると、本校に「しかたなく入学した」という生徒の比率が急増している。これらの傾向は、目的意識の希薄さとして表れており「進路を常に考えている」というのは、全体で二十%未満という低さである。
今回の研究を機に、進学係では学年との連携強化、生徒のカウンセリングの深化に努めるとともに、大学見学会や夏期セミナーを実施し成果を上げた。また就職係では就職情報を収集し、「就職だより」を通して情報を提供して生徒の進路意識を高め、学年や家庭との連携を強めた。
(三) 生徒指導部
落ち着いて充実した学校生活を送ることができるようにするために、全教師一致のもとに遅刻指導の徹底に取り組んだ。「遅刻カード」を生徒一人一人に持たせ遅刻回数を把握した。遅刻回数が通算七回に達した生徒については、保護者に連絡するという従来の指導に加えて、カウンセリングの中で生活全般から遅刻の理由を生徒に考えさせるように努めた。この結果、平成五年度は前年度に比べ遅刻者が一割強減少した。
(四) 各教科
今回の研究の事後調査から、各教科では、次のような生徒の変容が認められた。
1) 基礎的・基本的事項が定着している。(国語、英語、家庭、商業)
2) 生徒に意欲が出てきた。(国語、社会、保健体育、芸術、英語、家庭、商業)
3) 判断力・思考力・表現力・創造力などの能力が身についた。(数学・理科)
本研究の取り組みは、副次的効果として教員集団の結束と連係強化を生み出し、学校の活性化につながっている。
五 今後の課題
今回の研究は、前回の県指定「学力向上に関する研究」(昭和四十、四十一年)以来、本校にとって実に二十八年ぶりの研究であった。研究のノウハウはすべて失われ、他校での研究の経験者もほとんどいない中でのスタートであった。
研究の分野は、学力向上を主眼とするところがら各教科を中心に据え各部(教務・生徒指導・進路指導)がそれぞれを支えることとして研究を進め、各部の実践指導は各ホームルームで行った。
その成果については先に述べたが今後の課題として次のようなことが上げられる。、
(一) 研究はまだ途中の段階であるから、今後も継続して研究する必要がある。
(二) 基礎的・基本的事項の定着に時間がかかり、各科の進み具合にもばらつきがみられた。
(三) 基礎的・基本的事項の定着から応用事項へ発展させるにはどうしたらよいか。
(四) 学習が立ち後れ、授業に背を向けている生徒の指導方法。
(五) 研究を進めることで身についた教師の能力を今後も維持していくにはどうしたらよいか。
(1)組織図