教育福島0182号(1994年(H06)10月)-048page

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教育ひと口メモ

 

わかりやすい教育法令解説3)

情報公開制度と個人情報保護制度について

 

一 情報公開制度

 

情報公開については、既に平成三年に福島県情報公開条例が制定され制度化されているところである。この条例は、「公文書の開示及び情報提供の推進に関し必要な事項を定めることにより、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進すること」を目的として制定されたものである。(第一条)

この条例では、原則として県の実施機関(教育委員会、各県立学校等を含む)の保有している公文書のすべてが公開の対象となるが、県民等であれば誰にでも同じ内容で開示するものであるため、個人に関する情報については当該本人に対しても開示しないことができると規定されている。(第六条第二号)

また、法令又は条例により開示することができないとされている情報や県が行う事務事業に係る意思形成過程における情報であって、開示することにより、当該事務事業に係る意思形成に著しい支障が生ずるおそれのあるもの等も開示対象外とされている。(第六条第一号、第三号〜第八号)

 

二 個人情報保護制度

 

情報公開制度に対して、個人情報を適正に取扱うことにより個人の権利・利益を保護するための制度が、個人情報保護制度となるが、現在、神奈川県をはじめとして十都道県で条例が制定されている。情報公開制度の下では個人に関する情報は当該本人に対しても開示しないが、この制度の下では県が保有する個人情報を当該本人にのみ開示することになる。

 

三 福島県個人情報保護条例

 

平成六年三月に福島県個人情報保護制度大綱が発表され、九月県議会定例会において「個人情報の適正な取扱いの確保に関し必要な事項を定めるとともに、県の機関が保有する個人情報の開示及び訂正を求める個人の権利を明らかにすることにより、個人の権利利益を保護すること」(第一条)を目的とした福島県個人情報保護条例が議決され、平成七年四月一日より施行される。

この条例制定の背景には、情報化社会の進展により情報の大量処理、広範な伝達が可能となった反面、個人の権利・利益侵害の可能性が増大するとともに、プライバシーの概念が、従来の「私生活を公開されない権利」から「自己の情報を自らコントロールする権利」へと変化していることがあげられる。

この条例では、「個人情報」とは、氏名、住所、年令、職業、学歴、趣味、所得、家族構成など個人に関する情報で、情報の本人が特定できるものとされる。(第二条)現在、福島県教育委員会及び各県立学校等の出先機関では、これらの個人情報をどのような事務のために取扱っているかを明らかにし、県民の閲覧に供するための個人情報事務取扱登録簿を作成し、条例施行に向けて準備を進めているところである。

この「個人情報事務取扱登録簿の作成・閲覧」(第五条)の他に、事務の目的を明らかにし、目的に必要な範囲内で適法公正な手段により、原則として本人から収集する「収集の制限」(第六条)、収集した事務の目的外には、原則として個人情報を利用・提供しない「目的外利用・提供の制限」(第七条)、個人情報を正確なものに保ち滅失や毀損のないよう安全に管理する「適正管理」(第八条)、職務上知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならない「職員の守秘義務」(第十条)などの規定が個人情報保護のために設けられている。

また、県の実施機関に対する県民の権利として、「自己情報の開示請求権」(第十一条)、「自己情報の訂正請求権」(第十九条)、「不服申立て」(第二十二条)、「自己情報の取扱是正の申出」(第二十三条)等が規定されている。

これらの権利の中で、「自己情報の開示請求権」は、自分のことがどう記録されているか知りたいときや内容に誤りがあるか確認したいときなどに、誰でも自分の情報の記録の閲覧又は写しの交付を請求できる権利である。ただし法令秘情報、請求者以外の個人情報、個人の評価等情報、意思形成過程情報、事業執行過程情報等は対象外とされている。(第十二条)

 

 

 


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