教育福島0182号(1994年(H06)10月)-050page
ふるさと探訪
県指定重要文化財(歴史資料)
絹本著色恵日寺絵図 一幅
所在地 会津若松市城東町一番二十五号 県立博物館
所有者 恵日寺
この絵図は、室町時代初期の作とみられ、巾の狭い絵絹を四枚継ぎ合わせ恵目寺境内を主として図示している。寛文の会津風土記には「恵日寺図」、正徳六年(一七一六)恵日寺五六世実賀の記録には「当山古絵図一紙」、文化の新編会津風土記には「当寺永正古図一幅」などとも記されています。
主題である恵日寺境内の金堂・根本堂・両界常その他の諸堂宇の配置がかなり正確に図示されてあり、その建立当時の偏角を「示唆していま
す。しかし、境内を囲む周辺部はこの寺の鎮守磐梯明神の本宮がある磐梯山や南河沼の藤倉二階堂のほか、多数の子院の遺跡も含み、さらに、北は小城峰(磐梯町と北塩原村の境)、東は湯達沢一猪苗代町押立付近)、西は赤枝(磐
梯町赤坂)にも及んでおり、それらの地理的位田は正確ではないが、古い寺社絵図の特色を示しており、会津地方での僅少な中世資料として貴重なものです。
石生前遺跡出土品とともに、平成六年三月三十一日付けで県重要文化財に指定されました。(昭和十五年二月二十三日付け国の重要美術品に認定)