教育福島0183号(1994年(H06)11月)-016page
特集〔1〕 新教育課程
研究実践(福島県立平工業高等学校)
『個を生かすための教育課程の編成と案施上の工夫』
−より効果的な進路実現を目指して−
平成4・5年度 福島県教育委員会指定研究
一、はじめに
効果的に学習指導を進めるためには、一律に固定的な考え方にとらわれずに、生徒の実態に応じて、できる限り幅広く柔軟な教育を施すことが求められている。
即ち、新しい学力観に立ち、多様化した生徒の個々の能力・適性、興味・関心、進路等に対応できるよう教育課程を弾力的に編成し、指導法を工夫・改善することが必要とされている。
こうした時期に本校は、平成四・五年度の二年間にわたり県教育委員会の研究指定校として、新学習指導要領の趣旨を踏まえて教育課程に係わる研究を行った。
従来から本校は産業界に活躍する多くの卒業生を送り出しており、進路に関しては就職に対応した指導を中心に行ってきたが、進学率が年々上昇しており、進学に対する地域の要望も高い。このような両面性に対して、今後、その期待や方向性に十分に応えていく必要がある。
そこで、生徒の能力、適性や進路に応じた教育課程の編成と実施上の工夫を行うことによって、個の伸長と豊かな学校生活の実現や、より効果的な進路実現が可能となるように、全教職員が実践研究に取り組むことにした。
二、学校概要と生徒の実態
1 学校概要
全日制、工業科各学年九学級(電気(2)、機械(2)、電子機械(1)、土木(1)、情報技術(1)、電子(2))
2 在籍生徒数
平成六年五月一日現在
一、〇五〇人(内女子五十二人)
3 卒業生の進路状況(表1)
表1 卒業生の進路状況
4 生徒の特徴
1) 比較的能力、資質に恵まれた生徒が多い。
2) 進学を希望する者は、年々増加の傾向にある。
3) 学習全般に熱心に取り組む者がいる反面、興味・関心を示さない者もいる。
三、研究の内容
研究のキーワードは「個を生かした」であり、「教育課程」をハード面、「実施上の工夫」をソフト面と位置づけて、より効果的な進路実現を目指すところの、個を生かした教育課程を編成・実施することにより、生徒の期待に応えていこうとするものである。
そのため、研究の中心となる縦軸に学習指導研究を位置づけ、支えとなる横軸を教育課程研究と学校内規研究とし、研究実践を重ねて、生徒の力を全般にわたってレベルアップできるように努めた。
1 研究組織・内容
(1)〔教育課程研究部〕進路実現を目指した教育課程の編成の研究
(2)〔学習指導研究部〕教科・科目に関する研究を通して、個々の生徒の学力を向上させるための研究
(3)〔評価内規研究部〕新学習指導要領に基づいた、評価内規並びに履修と修得の在り方と単位数等の研究
2 研究の仮説
これらの研究に当たっては、個々の生徒の学力を向上させることが進路実現に役立ち、個を生かすことができるという仮説を立てて研究に取り組むことにした。