教育福島0184号(1995年(H07)01月)-010page
個に応じて、適切な文章表現力を育てる指導
−評価の試みを中心に−
福島市立杉妻小学校教諭 伊藤きみ子
一、研究主題について
1 研究主題設定の理由
(1) 児童の実態
児童の日常における文章表現の学習では、語彙が少なく長文を書くことができない、「構成」が意識されておらず、段落もはっきりしない、「書かされる」という意識が強いというような問題点が目についた。
また、教育センター国語科内容診断テストの結果では、知識・理解=認知面の学力「表現・書く(作文)領域」の正答率が、理解、言語事項領域より低く、県や学年平均よりも低かった。中でも「構成」が、最も低かった。関心・意欲・態度=情意面の学力も、特に表現領域では「好きでない」との回答が多かった。
(2) 今日的課題から
新しい学力観に立った学習指導では、「関心・意欲・態度」「個に応じて」「よさを認め生かす」「共感的理解と支援」「主体的学習」が強く要求されている。中でも「個に応じた指導」は、基礎的・基本的内容の定着を図る上で極めて重要である。国語科では目標として、「適切に表現する能力を育てること」が掲げられ、文章表現力の向上に重点がおかれている。また、主体的な学習を進める一方法として「評価」が考えられる。評価を取り入れることによって、自己の課題や目的が明確になり、児童は、意欲的に自ら学習していく力をつけることができるものと思う。以上の考えから本研究主題を設定した。
2 主題についてのとらえかた
(1) 「個に応じて」とは 略
(2) 「適切な文章表現力」とは
指導要領第五学年の目標や内容A表現カからケを基礎的基本的内容とする。
(3) 評価について
新しい学力観に基づいて、新しい評価観を探り、「子供たちが生きるように支援していく評価」を目指す。結果ばかりでなく、文章表現の過程や状況を大切にして記録を累積し、つまずきをも大切にしてその子なりの伸びを賞賛する共感的で温かく、継続的な評価とする。フィードバックを繰り返し、評価だけが独立するものではなく指導と一体でなければならず、また、常に児童の意欲を喚起する評価でなければならない。
3 めざす児童像
《活動目標》
○文章表現に対する興味関心を持ち、意欲的に楽しく作文学習に取り組むことができる。
(関心・意欲・態度)
《内容目標》
○取材の仕方、主題文や要旨の書き方、構成の仕方(重点)、本文の書き方がわかり、目的に応じた文章を書くことができる。(知識・技能)
○個に応じて、個のよさを生かし、自分の言葉で個性豊かなその子なりの文章を書くことができる。(個性)
《評価目標》
○自己評価することができ、自分のよさやつまずきがわかり、よりよい文章を書こうとする。(自ら学ぶ力)
○相互評価をすることができ、友達のよさを見つけて自分の中に取り入れたりへ友達にアドバイスしたりして互いに磨きあい学び合うことがで