教育福島0184号(1995年(H07)01月)-017page
や励ましをする。
[授業仮説追究の視点]
1)野菜や果物の生産者や運送にあたる人の話や写真等の具体的な資料を提示する。
2)郡山市場に入ってくる野菜や果物の輸送経路、方法等の資料をできるだけ多く準備する。
3)グループごとの予想を振り返ることにより、課題を意識しながら調べることができるようにする。
4)言葉かけや指示、参考資料の紹介等を行い、つまずきを取り除くように努めるようにする。
[授業の実際]
導入段階で、OHPを活用して前時に考えた予想を発表した。
Cこれから、○班の「青森のりんご」の予想を発表します。
C地図の三を見てください。青森からトラックで東北自動車道を通って郡山まで運ばれて来ると予想しました。
C時間は、五時間半ぐらいかかると予想しました。それは、前に旅行に行ったときそれぐらいかかったからです。
C工夫は、悪くならないように冷やしながら運ぶと予想しました。
七つの班全部が、それぞれ予想を発表した。その後、各グループごとに資料コーナーで調べ学習に入った。
T首都高速道路は、○○君からもらった地図に載っていますよ。
Tパレット輸送については、向こうのコーナーにありますよ。
T飛行機の時刻表を見ると、何時間かかって来るか分かるよ。
調べる学習は二時間続きで行われた。「予想が当たった。」「なんだこうだったのか。」いう声が、調べている児童の中から聞かれた。
[授業の考察]
1)全国各地に取材し、集めた資料を再構成したのが効果的だった。
2)教材研究が深かったため、適切な助言ができた。
3)予想を取り入れ、課題意識を持って学習に取り組めるようにした。
4)自分の生活経験をもとに考える習慣をつけていた。
1)〜4)の支援により、児童の学習意欲が高まり、質の高い社会科の学習ができた。
六、研究の成果
1 「個に応じ、個を生かす」では
個に応じ「個を生かすための「個人カード」の作成によって、一人一人の学習傾向について、より深く理解することができた。そのため、児童の学習に対する思いや願いを実現するための多様な学習活動を保障する授業を設計することができ、どの児童にも活躍する場面が生まれ、学習への意欲が高まった。
また、児童のよさや支援の手立て等を記入した「座席表」の活用により、効果的な支援活動を行うことができた。
2 「支援」では
児童が主役の授業を実現するための「学習支援案」作成とその実践により、教師の授業観や指導観に変化が見られるようになった。そして、授業の中では「支援者」という立場に立って児童に関わってきたことにより、児童の生き生きとした学習活動が展開されるようになった。
3 「学習センター」では
学習センターにおける見学学習や調べ学習等の具体的な活動や体験を重視した学習により、児童自らが資料や情報を収集し、選択し、活用して課題解決を図ろうとする積極的な学習態度が見られるようになった。
4 「読書活動」では
朝の読書タイム、NIE活動、読書祭り等の多様な読書活動を通して、情報活用能力や表現力が高まった。
七、今後の課題
1 「個人カード」の本質を求めて
児童のよさや願いをもっと深く理解し、一人一人の自己実現を図るカルテの要素も含むカードとなるよう、その内容、形式、記載の仕方、活用等について改善を加えていきたい。
2 「支援」の在り方を求めて
「個人カード」「座席表」等に基づいた一人一人への意図的・計画的な支援だけでなく、児童の学習活動の情況に応じた適時・適切な支援や教科、教材の本質を踏まえた支援ができる教師の力量形成が求められる。
また、助言や賞賛等の言葉かけだけでなく、T・T方式などの学習形態の側面からのアプローチもさらに深めていきたい。
3 「学習センター」構想の実現に向けて
児童の主体的な活動や体験を促す環境としての「学習センター」が、最適な学習環境となるようその構成についての吟味が必要である。
そのためには、学校図書館や地域の施設・自然・人材等から学習に必要な情報をいかに収集し、選択して環境を構成し、活用していくかという教師自身の情報活用能力を高めることが大切である。
4 豊かな「読書活動」を目ざして
「学習センター」の核としての図書館の機能を十分生かすための読書活動、読書行事、「親の読書会」活動等をさらに充実し、児童一人一人が自然に図書館から情報や知識を得ることができる活動を通して、本研究の土台を強化していきたい。
(教諭 古川 次男)