教育福島0184号(1995年(H07)01月)-048page

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図書館コーナー

 

福島県公共図書館の概況

−−近年の流れから−−

 

県内公共図書館の概況を紹介する前に、まずは簡単なクイズをどうぞ。問題は全部で五問です!

【第一問】福島県は九十市町村ありますが、では現在、市町村立図書館はいくつあるでしょうか?

【第二問】市部の図書館設置率は一〇〇%となっていますが、町村部の設置率は全国四十七都道府県の中で何番目でしょうか?(平成六年四月現在)

【第三問】平成五年度、全国で住民一人当たりの貸出冊数が最も多かったのは、高月町図書館(滋賀県)の二士二・二冊ですが、当県No.1の双葉町図書館は何冊でしょうか?

【第四問】同年市立図書館(政令指定都市を除く)での資料費最高額は豊中市(大阪府)でしたがその決算額はいくらでしょうか?

1)約八千万円 2)約一億四千万円 3)約二億三千万円 4)約三億九千万円 5)約六億六千万円

【第五問】平成五年度における、県内の市町村立図書館全体の個人貸出登録者のうち、児童の割合はどれくらいでしょうか?

1)三四・五% 2)三六・七% 3)四二・三% 4)四二・六% 5)五二・六%

それでは、回答と簡単なコメントをいたしましょう。

《第一問》 二十九館

《第二問》 四十二番目

その内訳は市立が十八館、町立が九館、村立が二館で、特にいわき市(六館)と郡山市(四館)には地区館もあります。これに比べ、図書館を持つ町村は八十のうち僅かに十一で、設置率にすると一四%弱、全国で後ろから六番目というのが事実なのです。

因みに、町村の図書館設置率が一〇〇%なのは富山県ただ一つで、これに石川県(七九%)、東京都(六四%)が続きます。東北では岩手県の四一%が最高となっています。

《第三問》 約六・七一冊

県内ではここ数年双葉町がトップで、これに岩瀬村、郡山市、塙町等が続いています。双葉町の数字は、高月町の三分の一以下でしかありませんが、この数字は決して図書館活動が遅れていることを示すものではありません。視点を変え、登録者という観点から見れば、双葉町では、生まれたばかりの赤ちゃんかちお年寄りまで、町民全体のおよそ三人に一人が、図書館の貸出券を持っていることになるのです。

また郡山市は、三十万という人口を抱えている割には、市民一人当たりの貸出しが四冊を超えています。これは地区館設置の効果が大きいと言えます。

《第四問》 3)

回答例の1)は平成五年度における県内トップの、郡山市の資料費決算額。2)は全国の町村立図書館での最高額だった、大栄町立図書館(鳥取県一の資料費。4)は福島県内市町村立図書館全部の資料費の合計。5)が市立のトップである横浜市立図書館の資料費です。県内全部の図書館を合わせても、横浜市立図書館の半分程度にしかならないというのは少し寂しい気もします。

《第五問》 1)

言われて久しい児童の読書離れに関する問題でしたが、2)はその四年前の平成元年度の割合。3)は昭和六十年度の割合。4)は平成五年度の福島県内の図書館未設置町村における公民館図書室での割合。5)はその昭和六十年度の割合です。これを見ると、読書離れが進んできているのを感じます。

以上ですが、意外に感じたものもあったのではないでしょうか。日本の図書館は欧米に比べまだまだ遅れています。その日本の中でも福島県は多少遅れているわけですから、幾分数字に物足りなさを感じるのも、致し方ないことかもしれません。

しかしここ数年の不況で、資料費が少なくなってはいるものの、福島県内の公共図書館全体の数値は着実に伸びています。町村図書館の数が少ないとはいっても、最近は少しずつ増えてきましたし、それらの図書館はいずれもかなりの活躍をし、反響を呼んでいます。

年間貸出総冊数は、平成五年度に初めて四百万冊を超えました。ビデオソフトの貸出しを行う図書館も十館を数え、資料の多様化も進んできています。須賀川市では視聴覚資料の貸出しがここ二年続けて一万点を超えていますが、本や雑誌、紙芝居等の貸出総数が十万冊ですから、視聴覚資料はもう決して本の脇役ではなくなってきています。

一方、公民館の貸出はなかなか伸びません。昨年〇・六冊台になった一人当たり貸出冊数も、平成五年度は再び〇・五冊台と逆戻りをしました。図書館に対して多様な要望が出てくる中で、読書活動の活性化だけの公民館図書室には、自ずと限界が見えてきたようです。

今後の、福島県の図書館界発展のためにも、多種多様な図書館の出現を望むところです。

 

 

 


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