教育福島0186号(1995年(H07)04月)-012page

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特集

道徳教育の推進

●心がひびき合い、深め合える道徳教育の推進

●(研究実践)平成6年度研究指定校における実践

●(特別企画)地戦くやるみの道徳教育の推進

義務教育課

 

心がひびき合い深め合える道徳教育の推進

 

学校教育においては、現在、いじめ問題や人権問題に適切に対処し解決するとともに、生命尊重の教育をいかに充実させていくかなど子供たちの心にかかわる教育の推進が大きな課題となっている。

これからの道徳教育では、道徳的価値にかかわって自らの生活を見つめ、あるいは将来を見つめながら、人間理解、他者理解、自己理解を深め心を耕していくことが大事になってくる。

各学校では自校の道徳教育上の課題解決を図るとともに豊かな心を育てようとする特色ある実践がなされてきている。さらに、子供たちのよさや可能性を生かし、互いの心がひびき合い、深め合える道徳教育が展開されるためには、次の点からの改善が必要となる。

〇 自校の全教育活動上の道徳教育を構造的に捉え、道徳の学習が総合的に行えるよう多様で弾力的な指導を工夫する。

〇 道徳の時間の指導がやや固定化しがちであるので、児童・生徒が興味と意欲を持って主体的に取り組む指導を工夫する。

〇 児童・生徒の内面に根ざした道徳性の育成を図る豊かな体験の場の構成について見直しを図る。

各学校においては、このような点にかかわる実践課題を明確にして、その改善を図っていくことが大切になる。

一、新しい学力観と道徳教育

新しい学力観に立つ教育は、意欲や思考力、判断力、表現力を育成し知識・理解の確かな定着を図ることを重視しながら、子供一人一人が豊かな自己実現を図れるよう適切に指導・支援していくことを基本としている。道徳教育は、それらの資質や能力を調和的な人格の発達へとつなげる大切な役割を担っている。

(1) 道徳教育で育てる資質、能力

道徳の内容項目は、人格の基盤となる道徳性の発達を調和的に図るために基礎基本となることがらを示している。道徳の学力は、道徳の内容項目を窓口として、道徳的心情、道徳的判断力、道徳的実践意欲や態度を培い、自らの価値体系を再構成しふくらませていく資質や能力と捉えることができる。

価値体系の再構成は、生活する場すべてを通して行われるが、より活性化するためには、その中核となる道徳の時間の指導が十分工夫されなければならない。

(2) 学校教育における道徳教育の再検討

学校における道徳教育は、全教育活動を通じて行う道徳教育と、それらを補充・深化・統合する働きをもつ道徳の時間により行われる。ところで、この補充・深化・統合はとかく抽象的になりがちであったし、道徳教育の全体計画にも十分生きて働くものになっていない傾向があった。このような中で新しい道徳教育を推進していくには、特に、次の全体計画の機能を見直し、自校の道徳教育総合プランを構想することが大切となる。

〇 指導内容の横の関連を図る機能

〇 指導の場を明確にする機能

〇 学校の協力体制を組織化する機能

〇 家庭、地域社会との連携、協力を図る機能

(3) 各領域での指導の改善

各教科、特別活動で行われる道徳教育では、それぞれの教育活動の特質に応じてなされることから、その場の指導で終わったり、断片的であったりして、その過程において行われる道徳的価値の学習は十分とはいえないことが多い。

そこで、道徳的価値についての総合的な学習がより効果的に行われる

 

 

 


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