教育福島0186号(1995年(H07)04月)-014page

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(研究実践)

平成六年度研究指定校における実践

 

豊かな心をもち、よりよく生きる力を育てる道徳教育

人や自然とのふれあいを生かして

棚倉町立社川小学校

 

一、研究のポイント

道徳の授業と日常の豊かなふれあい体験との関連を図り、主体的に学習したり活動したりすることを通して、豊かな心をもつ児童を育てることを研究のねらいとした。

 

二、研究の実際

1 人や自然とのふれあい体験を生かした道徳の授業

児童の生活や心の動きと結び付いた学習が展開できるように、人や自然と直接かかわる体験活動の授業への生かし方を工夫した。

(一) 事前体験の充実と生かし方

事前体験の内容としては、1)他教科・他領域との関連をふまえ人や自然とふれあえるもの2)必要に応じ担任が意図的に計画し実施したもの3)学校、家庭、地域における児童個々の日常体験等があげられる。道徳の授業を行う際、ねらいにかかわる事前体験をあらかじめ記録し、それらを指導過程の中に位置付けた。授業の中では、ビデオ、写真、作文や日記、体験時に使用した具体物等の提示によって体験を想起させた。

(二) 授業の実践例

「一年 そだてようひまわり」

一人一鉢運動や学級の花壇や農園における栽培活動の体験を共通の事前体験としてとらえ、授業の気付く段階と見つめる段階に生かした。

特に、見つめる段階では、水不足のベニゴアの鉢を提示したことにより児童は自分自身の世話の良否を素直に振り返り、その後の動植物の世話の仕方についての話し合いが活発になった。

授業後の児童の日記の中に、「はなさん、ごめんね、こんどからお水をいっぱいあげるよ。」「かかりじゃないけど、こんどは、ぼくがあげるね。」と、自分自身を振り返っている姿が見られた。

2 人や自然とふれあう豊かな体験活動の推進

働くことや植物を育てる大切さに気付かせること、人とのふれあいという面から友達と協力しながら活動することの大切さを感じ取らせたいと考え、「ふれあいの広場」「栽培活動」に取り組んだ。

(一) ふれあいの広場

「・やまなしタイム・マラソンタイム・なかよしタイム」の三つの活動を設定している。

やまなしタイムとは、縦割り班ごとに、他学年の児童とふれあう活動である。学校林の中の遊歩道を、他学年の児童が手を取り合って散策する姿がたくさん見られる。また、ころんだ下級生を背負ってつれてきた上級生がいるなど、この活動を通して全校生の心と心のつながりがより深くなってきているのを感じる。

(二) 栽培活動

一人一鉢運動や花壇・農園活動に取り組んだ。落ち葉拾いをして腐葉土を作ることから始め、土作りから苗植え、水かけや除草などの活動を自分たちの手で行った。特に、栽培活動について学習した一年生は、朝からジョウロで水をあげている姿や、担任に、「大きくなったよ。」「早く花が咲かないかな。」と言いに来るなど、花に対する関心が見られ、植物を大切にしていこうとする態度が育ってきた。

 

三、研究の成果と今後の課題

 

三、研究の成果と今後の課題

豊かな体験活動の実践により、児童は人や自然と深くふれあうようになった。そしてそれが道徳の授業の体験想起の場面に生かされ、価値追究に積極的に取り組んだ。また、児童の生活の様子や作文・日記の中にも自然に対する接し方、友達への思いやり等に変容が見られ、よりよい生き方を求めるようになったことが成果としてあげられる。

今後の課題としては、児童の道徳性をより明確に把握し、その変容を探る評価方法、児童自身による自己評価の在り方について研究を進めていくことがあげられる。

 

 

 


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