教育福島0186号(1995年(H07)04月)-015page

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「思いやり」の心を育てる道徳教育

道徳の時間の指導を中核として

会津本郷町本郷中学校

 

一、主題設定の理由

本校生徒は、学校や地域でのあいさつがよく、指示されたことは確実に実行できるというよさをもつが、今後の指導にかかっていることも多い。例えば、感謝の心、礼儀正しさ、お互いの励まし合い・高め合い、家族への敬愛の念、自然愛、そして美しいものに感動する豊かな心など「思いやり」に関わる内容についての道徳的心情、道徳的判断力、道徳的実践意欲と態度の一層の育成である。

このことを本校生徒の課題ととらえ、本研究に取り組んできた。

 

二、研究仮説

研究仮説を次のように設定した。

1) 道徳の時間において、「思いやり」に含まれる道徳的価値を中心にして、適切な資料を用い、感動や共感を大切にしながら、多様な人間の生き方やものの見方について考えさせ、自己をふり返らせ、

2) 「思いやり」に関する豊かな経験を通して、生徒が気づいた問題点なども取り上げ、道徳の時間の指導を充実していけば、

「思いやり」の心が育つであろう。

 

三、研究実践の概要

1 道徳の時間の指導の充実

現職教育研究協議会や授業研究会の計画的な実施により、研究仮説を受けて、諸指導計画の改善や指導法の工夫を行った。特に、指導法の工夫では、次のような具体的な授業を実践した。

〇 自作資料を取り入れた授業

〇 疑似体験を取り入れた授業

○ モラルジレンマ資料による話し合いを取り入れた授業

〇 役割演技を取り入れた授業

2 体験的活動の充実

道徳教育の実践の場として、また道徳の授業を側面から支援する活動として、体験的活動を見直し、その道徳的な効果を考察した。

(一) 体験的活動がもつ道徳的価値の確認

・「体験的活動一覧表」との作成

(二) 体験的活動の実施計画の見直し

・「道徳的価値とのかかわり」とを盛り込んだ実施計画づくり

(三) まとめと評価の活動

・実施後のアンケート調査

・体験発表

・体験的活動の評価と考察

3 家庭・地域との連携

家庭・地域社会にむけて、学校での道徳教育の取り組みや現状などの広報、啓蒙活動(道徳だより『白鳳』の発行)、家庭・地域社会からの声などの収集・集約活動(道徳の授業参観と地区懸談会の開催)を行った。

4 アンケートの実施と結果分析

本校生徒の道徳性を様々な視点から調査し、その実態を把握することによって、研究の方向性を示すとともに課題を明確にしてきた。

 

四、研究の成果

道徳の時間では様々な指導方法を工夫し、実践してきたことにより、生徒の道徳の授業に対する興味関心が高まってきた。教師側は、資料や指導について多面的な検討・吟味をして取り組むようになり、道徳教育の重要性を再認識することができた。

また、「思いやり」の観点で生徒を観察してきたことにより、生徒に対する見方が変わり、さらに伸ばすべきよさや補うべきところがわかり、その点を踏まえて生徒に接することができるようになった。さらにそのことにより、「やさしさ」や「思いやり」を道徳ノートや反省に、素直に表現できる生徒が多くなった。

 

五、今後の課題

 

五、今後の課題

1 道徳に対する理論研究を充実させ、研究に深みをもたせる。

2 家庭の道徳教育に対する意識をさらに高揚させる手立てを探る。

3 研究の深まりや今後の生徒の変容を把握するための観点や手立てを明確にし、研究を継続させる必要がある。

 

 

 


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