教育福島0186号(1995年(H07)04月)-016page
豊かな心と実践力を育てる道徳教育
道徳の時間と体験活動との関連を通して
いわき市立平第二小学校
一、主な研究の内容
1 豊かな心と道徳的実践力を育成するための諸計画の見直しと改善
2 豊かな心と道徳的実践力を育てる授業の改善と充実
3 道徳的実践を促す多様な体験活動の重視
4 道徳的実践を支える家庭・地域社会との連携
5 道徳的環境の整備と充実
二、実践の概要
以下前掲の2、3を中心に述べる。
(一) 道徳の時間の見直しと改善
(1) 道徳の時間と体験活動との関連
<重点1>事前・事後指導を重視し、道徳の時間との関わりを密にした授業の実践
〇資料(道徳的価値内容)と日常体験との関わりの考察
〇具体的目標(週のめあて、学年や学級目標等)との関連づけ
〇道徳的価値の理解と道徳的実践、意志力の強化
<重点2>道徳の価値内容と諸行事のねらいとの関連を強めた実践
〇諸行事のねらいと道徳の価値内容との関わりを明確にした方案の作成
〇道徳的価値内容に合わせた行事や集会等の設定
<重点3>道徳的実践を促す場を意図的に設定した各ブロックの実践
低学年−−「主に生活科を通して」 自立心の育成
中学年−−「主に学級活動を通して」 活動性の育成
高学年−−「主に委員会活動を通して」 自発性の育成
以下重点1を中心に述べる。
1)事前指導の視点
〇価値に関連した道徳性や体験の度合い、判断の傾向、児童の感じ方・考え方、行動の仕方など実態を把握し、それらを道徳の時間に生かす工夫をする。
〇価値についての意識化を図り、心の問いを道徳の時間につないでいく。
2)事後指導の視点
〇道徳の時間の指導のねらいがどのように意識化され、日常生活の中でどう生きているかなど、情報の収集に努め、継続的な日常指導にあたる。
〇意図的に体験の場を設けて実践化を促す。
〇価値に対する意識や実践しようとする意志力が持続されるようにする。
〇日常生活の場を通して、常に称賛と励ましを与え、指導が性急になったり無理強いになったりしないよう留意する。
(2) 指導過程の基本型
教師一人一人が自己をみつめる授業の創造をめざし、授業の基本型を次のように考えた。
事前−−児童の実態把握と価値の意識化(二の(一)の(1)重点1参照)
道徳の時間−−「気づく」→「考える」→「見つめる」→「高める」の四段階
事後−−価値の意識化と継続化、意図的な実践の場の設定
このほか、「子供を生かす多様な学習活動の工夫」と「終末段階のあり方」について重点的に研究した。
(二) 多様な体験活動の重視
体験活動の内容を次の五つの視点からとらえ直し活動内容を検討した。
〇基本的生活習慣にかかわる体験
〇人と人とのかかわりあいの体験
〇自然とのかかわりあいの体験
〇勤労にかかわる体験
〇つくり出す活動の体験
また、これらの視点をもとに「学校全体を通じて行われる体験活動の年間指導計画表」を作成し、多様な体験活動の指導に努めた。
三、今後の課題
1 より総合単元的な道徳の指導計画の作成と、その実践化に努める。
2 児童自らが課題をもち、よさを発揮しながら内面化を図ることができる指導法を研究する。
3 道徳の時間と体験活動との関連を更に強化し、道徳的実践の一層の向上をめざす。
4 基本的な生活習慣のうち、あいさつや言葉づかいに関する体験を一層重視する。