教育福島0186号(1995年(H07)04月)-018page
(特別企画)地域ぐるみの道徳教育の推進・青少年の心の教育の充実に向けて貴重な提言
南会津地区(平成6年度)道徳教育振興会議
平成六年度福島県道徳教育振興会議が南会津地区で開催されました。
この会議は、毎年各教育事務所単位に巡回して開催し、学校・家庭・地域ぐるみの道徳教育を推進させるために実施されているものです。
南会津地区の各分野で活躍されている二十人の委員の方々から、国際化・情報化・価値観の多様化等の社会の変化に対応する道徳教育の推進について貴重なご意見をいただき、提言としてまとめました。豊かな自然と伝統ある文化を誇る南会津地区ならではの提言の一部を紹介します。
1 家庭における道徳教育
(1) 家庭が安らぎの場であること
〇 両親が祖父母を大切にし互いに思いやりがあれば、子供はその中で秩序やおもいやりの心を育てる。
〇 子供を無条件に受け入れることを基本とした子育ての中で、子供は生きる希望と人間に対する信頼感を育む。
(2) 大人が自分の生き方に自信と信念をもって生活すること
〇 一貫したしつけは子供を素直にする、という信念で子育てをする。
〇 「ならぬことはならぬ」という厳しい態度も必要である。
〇 父親、母親、それぞれの役割を意識して子供のしつけに当たる。
〇 両親が自分の生き方を謙虚に見直し、人格の向上に努める。
〇 子供のしつけは親の子供と社会に対する責任である、との自覚が必要である。
(3) 家族の一員としての自覚を持たせること
〇 家庭の中で子供自身がかえがえのない存在であるという自覚を持たせる。
(4) 家族ぐるみで地域や社会の行事に参加すること
〇 社会参加は、家族の連帯感を高めるとともに、地域住民としての自覚を高める。
2 地域社会における道徳教育
(1) 地区子供会組織を活性化する
この活動は、ややもすると親主導になりがちだが、子供を前面に出し、親がサポートすることにより実践力が育つ。
(2) 異年齢集団を組織する
小・中、中・高の集団を組織し年長者をリーダーとした活動を計画することによって、リーダーシップの育成と活動力の育成、人間的交流を図ることができる。
(3) 地域住民が一体となった運動の推進
〇 勇気ある一声運動
〇 全町民参加の補導活動
〇 標語コンクール、意見発表会
(4) 社会参加を積極的にする
各町村で実施している「地区クリーン作戦」になどには「なすことによって学ぶ」効果がある。
3 学校における道徳教育
(1) 学校教育全体を通して行う道徳教育
1) 教育基本法の精神を徹底する
学校基本法の精神を学校生活の全てに行きわたらせ、一人一人が人間として尊重され、自己実現を図ることができるようにすることが大切である。
2) 幼児教育における道徳教育を重視する
幼稚園や保育所等の幼児教育は、道徳性の芽生えの時期として大切にし、次のような点について配慮し保育に当たることが大切である。
〇 教師・保母との信頼関係に支えられた生活を送ること
〇 遊びを通して、他の人々とかかわりながら自立心を育てるとともに他人の存在に気づき、思いやりの心を育てること
3) 豊かな体験活動の場の設定を工夫すること
4) 地域の行事に積極的に参加する
奉仕体験活動、勤労生産活動、伝統文化を理解する活動、国際理解を深める体験活動等を偏りなく体験させる工夫が大切である。
5) 地域や学校の実態にあわせて諸計画を見直し、改善する。
6) 学校週五日制に向けて主体的な生活の在り方を指導する。
〇 課題意識をもって自分の生活を組み立てることができるように指導する。
〇 自主的に学習や生活を行うことができる活動の場や機会を設